屋根勾配とは?角度の決め方、メリット・デメリットを紹介
マイホームの屋根材を選ぶ際、慎重に検討してほしいのが屋根の勾配です。
屋根材の種類ごとに最適な勾配があり、適当に決めてしまうと雨漏りが起こるかもしれません。
本記事では屋根勾配の概要や種類、勾配の度合いがもたらすメリット・デメリットについて解説します。
マイホームの屋根選びにお困り方や屋根からの雨漏りに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
屋根勾配とは
屋根の水平面に対する傾斜の度合いにより、建物の外観や機能性に大きな影響を与えます。
急勾配や並勾配、緩勾配と3種類に分けられ、それぞれの特徴は以下のとおりです。
・急勾配(傾斜がきつい屋根):6寸(約31度)勾配以上
・並勾配(標準的な勾配):3寸(約16.7度)以上~5寸(約26.6度)以下
・緩勾配(傾斜の緩い屋根):3寸(約16.7度)以下
大事な建物のメンテナンスにも関わる内容のため、屋根勾配に関してきちんと把握することをおすすめします。
屋根に勾配が必要な理由
雨風に耐えるためには屋根の傾斜が欠かせません。
屋根に傾きがあると屋根の上に降った雨水の流れ方が変わります。
一方で屋根に角度がなければ屋根の上に降った雨水は流れにくいです。
雨水が流れずに屋根に溜った状態が長引けば屋根材の劣化が進み、雨漏りになるリスクが高くなります。
屋根の角度を表す「勾配数」の表記法
寸という尺度は、水平方向の長さを10と想定した場合の屋根の傾斜を示す単位です。
寸は1つ上がるごとに約5〜6度傾斜が上がり、10寸で45度の傾斜になります。
例えば図のように、水平に1m行った角で40cm下がれば4寸勾配です。
同じく水平に1m行った所で、60cmで下がれば6寸勾配になります。
屋根勾配の理想的な設定とは
異なる勾配の屋根にはそれぞれ特徴やメリットがあり、適切な選択が必要です。
3寸以上であれば瓦やスレート、シングル、金属屋根とさまざまな屋根材から選ぶことが可能です。
将来的に違う屋根材へ葺き替えもできます。
3寸から5.5寸の並勾配が一般的で、安定感のある外観を演出します。
ただし3寸勾配は屋根が薄く見えてしまうデメリットがあるので注意しましょう。
デザインやトータルコストも考慮するなら4寸勾配が理想的です。
急勾配は重厚感のある外観で、雪対策にも効果があります。
緩勾配はよりシンプルでスタイリッシュな外観を演出しながらも、排水効率が良いです。
建物のデザインや地域の気候条件を考慮して、最適な屋根勾配を選びましょう。
勾配は屋根材の選定にも重要な要素
屋根勾配の角度によって、施工できない屋根材があるので注意しましょう。
たとえば瓦は4寸以上の勾配が必要です。
図はルーガ鉄平ですが、瓦とほぼ同じ葺き方をします。
瓦やルーガは厚みがあり重ねて葺いていくため、自動的に前上がりになるからです。
仮に屋根が水平だと逆勾配、つまり雨水が上に流れてしまいます。
「瓦は4寸勾配以上必要!」というのが一昔前は常識でした。
しかし近年は低勾配に対応した瓦も販売されています。
KMEWの軽量セメント瓦「ROOGA(ルーガ)」も、防水紙などの条件を満たせば2.5寸勾配まで対応可能です。
一方で2.5寸勾配以下の低勾配では、選択肢は板金屋根の「立葺き」のみになります。
立葺きとはカラーSGLなどを成型し、縦方向に水が流れやすい形状にした屋根材です。
通常はおよそ1寸勾配までですが、屋根材によっては完全防水仕様にできます。
防水紙などの条件を満たせば0.1寸にも対応可能です。
ただし屋根勾配が少なすぎると雨水が屋根の上に残りやすくなります。
ごみやほこりが溜まって、屋根材を傷めることにもなるので注意しましょう。
屋根勾配の度合いがもたらすメリット・デメリット
それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
急勾配
急勾配のメリット・デメリットをまとめて紹介します。
【メリット】
・雨水がスムーズに流れ落ち、雨漏りの原因となる水たまりを防ぐ
・屋根面積が大きいため、周囲の建物と差別化できるデザイン性に富む
・屋根裏に広いスペースを確保できるため、収納スペースなど有効活用が可能
・屋根裏の空間により断熱効果が高い。夏は涼しく、冬は暖かい快適な住空間を実現
【デメリット】
・屋根面積が大きいため、施工費や足場代、メンテナンス費用がかかる
・台風や強風などの影響を受けやすいため、定期的な点検が必須
・屋根が高いため、周辺の建物や庭の日当たりを遮ってしまう
屋根面積が大きくなりやすいため、施工やメンテナンスコストが高くなる可能性がある点に注意しましょう。
緩勾配
緩勾配のメリット・デメリットも見てみましょう。
【メリット】
・傾斜が緩いため、台風や強風などの影響を受けにくい
・屋根面積が小さいため、コストパフォーマンスに優れている
・飛来物による破損リスクも低い
・傾斜が緩いため、急勾配と比較して作業リスクが低くて安全
【デメリット】
・雨水が流れ落ちにくく、急勾配よりも雨漏りするリスクが高い
・落ち葉やほこりが溜まりやすく、美観の低下や耐久性が落ちる可能性がある
・屋根裏が狭いため、収納スペースや断熱効果が低い
・使用できる屋根材が限られ、デザインや機能性の選択肢が狭くなる場合もある
傾斜が緩いため水はけが悪く、他のタイプと比較して雨漏りのリスクが高くなるので注意してください。
並勾配
一方で普及しているので見た目に差がつけにくく、個性が出しにくいのが難点です。
【メリット】
・一般的に普及している勾配で、施工業者が対応しやすい
・多くの屋根材が並勾配に対応しているため、雨漏りのリスクを低減する
・機能性やコストパフォーマンスなどのニーズに合った屋根材の選択が可能
【デメリット】
・最も普及しているので、建物の個性が出にくい
周囲と差別化したい場合やデザイン性を重視する場合は、他の勾配についても専門業者に相談してみてください。
立地や地域の環境を考慮して屋根勾配を決めよう
屋根勾配は、雨漏り対策や居住性、デザインなどに影響する建物の中でも重要な要素です。
屋根材に適した勾配にしなければ、雨漏りのリスクや住宅トラブルに発展するリスクが高まります。
建物の立地や気候、予算、メンテナンスの頻度を考慮して最適な屋根勾配を決めましょう。
すでに雨漏りに困っているなら、屋根材と屋根勾配との相性が悪い可能性があります。
勾配に適した屋根材でなかった場合は、既存の屋根材を撤去し新しい屋根材にリフォームすることで、問題が解消されるかもしれません。
専門知識を持った業者に相談しながらマイホームに最適な屋根勾配を選びましょう。
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