瓦屋根をリフォームする方法とは？耐用年数やメリットなどを解説
瓦屋根は耐用年数が長いのが魅力ですが、経年劣化は避けられません。
台風や地震といった災害が原因で、破損する可能性もあります。
ひび割れが起きたりはがれたりしている場合は、早めにリフォーム工事を検討しましょう。
放置していると雨漏りにつながる可能性もあり危険です。
本記事では瓦屋根をリフォームするメリットや方法の違い、瓦の種類別の耐用年数を解説します。
瓦屋根のリフォーム工事を検討している方は参考にしてください。
瓦屋根をリフォームする場合、以下の方法があります。
・葺き替え
・葺き直し
・棟瓦積み直し
・漆喰交換
・部分交換
具体的な内容を紹介します。
葺き替えとは瓦と下地（野地板）を新しくする工事です。
屋根全体にひび割れや劣化などが見られる場合は、葺き替える必要があります。
瓦屋根から瓦屋根に葺き替えるほか、金属屋根に葺き替えるケースも多いです。
また、葺き替え工事では瓦の下に敷いてある防水シートも交換します。
葺き直しとは古い瓦を再利用する工事です。
瓦を固定している釘や漆喰を新しくし、ひび割れている瓦を部分的に差し替えます。
葺き替えに比べて費用がかからない点がメリットです。
ただし、生産中止などで同じ瓦が手に入らない場合があるため注意しましょう。
棟瓦積み直しとは、ずれてしまった瓦を積み直す工事です。
棟瓦とは屋根の頂点にある瓦で、漆喰の劣化や地震などでずれてしまう場合があります。
棟瓦をずれたままにしておくと、のし瓦や棟瓦の滑落につながる危険があります。
劣化し、崩れてしまった漆喰を交換する工事です。
漆喰が崩れると内部の土が露出し、雨水で流出してしまいます。
放置すると棟の並びが変形し、崩れたり雨漏りにつながったりする危険性があるため注意しましょう。
割れた瓦を部分的に差し替える工事です。
瓦は経年劣化だけでなく、地震や台風で割れてしまうこともあります。
また、強風にあおられて部分的に瓦がはがれてしまうケースもあります。
割れやはがれを放置すると雨漏りにつながるため、早めの補修がおすすめです。
瓦屋根のリフォームにおける葺き替えと葺き直しの違い
瓦屋根ならではのリフォーム方法が、葺き替えと葺き直しです。
既存の瓦の状態によっては葺き替えが適していますが、葺き直しとどちらがよいか迷う方もいるでしょう。
葺き替えと葺き直しのメリット・デメリットを紹介するので、参考にしてください。
葺き替えのメリットは次の点です。
・外観のイメージを大きく変えられる
・新しい屋根材によっては耐震性が向上する
・屋根材の機能を回復させることができる
屋根を軽くして家への負担を軽減したい、外観のイメージを変えたい方には葺き替えが向いています。
デメリットは次の点です。
・新しい屋根材を使う分、費用が高くなる
・瓦の処分に費用がかかる
葺き替えの場合、新しい屋根材を購入する費用に加え、古い瓦を撤去・処分するための費用もかかります。
費用は新しい屋根材や施工範囲などで変動するため、具体的な金額が知りたい方は業者に相談しましょう。
葺き直しのメリットは次の点です。
・屋根材の処分が必要ない
・家のイメージを変えずにリフォームができる
・屋根材を再利用できるため費用を抑えられる
費用を抑えて、屋根の補修を行いたい方には葺き直しが向いています。
デメリットは次の点です。
・同じ瓦が手に入らない場合がある
・リフォームをしても外観のイメージは変わらない
古い瓦は生産中止になっているケースもあるため、注意してください。
瓦屋根に次のような症状が出ている場合、リフォームを検討するタイミングです。
・漆喰が剥がれている
・銅線が緩んだり、切れたりしている
・瓦が破損している
・瓦が曲がっている
・瓦の耐用年数を超えている
詳細を解説するので、当てはまるものがないか確認しましょう。
瓦を固定している漆喰も、時間の経過によって劣化します。
劣化が進むと漆喰が剥がれ、瓦がずれたり、落下したりする危険があります。
漆喰が崩れたところから雨水が浸入する可能性もあるため、庭やベランダに漆喰の欠片が落ちていないか確認しましょう。
瓦は銅線によって固定されていて、銅線が緩んだり、切れたりすると瓦の固定が緩くなります。
銅線は経年劣化で少しずつ緩みが発生するものです。
しかし、棟の形状によっては銅線に負担がかかって劣化が進む場合もあります。
地震の揺れで銅線が緩んだり、切れたりする場合もあります。
銅線の劣化が進んでいれば、地震の際に緩んだり切れたりするリスクが高まるため、注意が必要です。
瓦がずれて隙間ができると、下に敷いてあるルーフィング（防水紙）の劣化にもつながります。
瓦の一部が欠けたり割れたりしている場合、隙間から雨水が浸入したり、小動物や害虫が侵入したりするといったリスクが高まります。
破損が小さいからと放置していると、強風や地震がきっかけで瓦が落ちてくる可能性もあります。
早めの対応がおすすめです。
屋根の瓦が曲がっている場合も、屋根の修理を考えるべきタイミングです。
特に、屋根の一番高い所に設置されている棟瓦は、風の影響でずれたり、曲がったりしやすいものです。
強風で棟瓦がずれてしまうと、棟の内部に使われている葺き土が流れ出てしまう恐れもあるでしょう。
そこから雨水が染みこみ、雨漏りにつながる危険性もあります。
そのため、瓦が曲がっているのを発見した場合はリフォームを検討しましょう。
瓦の破損など目に見える問題がない場合でも、瓦の耐用年数を超えている場合はリフォームが必要な場合があります。
雨漏りなどトラブルが起こってからでは、修復にも時間やお金がかかります。
早い段階でリフォームをすると、大きなトラブルになるのを避けられるためおすすめです。
心配な方は業者に瓦屋根の状態を確認してもらいましょう。
瓦は、種類ごとに耐用年数や特徴が異なります。
住宅の屋根に使われる瓦は、以下のような種類です。
・陶器瓦
・いぶし瓦
・セメント瓦
瓦の下に敷いてある防水シートの耐用年数は瓦より短くなります。
そのため防水シートの耐用年数に合わせたメンテナンスも必要です。
防水シートの耐用年数は種類によって異なりますが、短いもので10～20年です。
表面を釉薬（ゆうやく）で覆っている瓦で、もっとも普及しています。
釉薬瓦とも呼ばれ表面に光沢があり、色あせしにくいのが特徴です。
デザインによって和風の家にも洋風の家にも使われます。
耐用年数は50～60年です。
瓦の素地をそのまま活かした瓦です。
古くから神社仏閣の屋根に使用されてきました。
釉薬を塗らないため、陶器瓦より耐久性は低くなります。
耐用年数は30～60年です。
セメントを固めて成型した瓦です。
耐久性が低く色あせしやすいため、定期的な塗装が必要になります。
コスパが悪いため生産は少なくなってきています。
耐用年数は20～40年です。
瓦屋根をリフォームするメリットには、次の点があります。
・耐震性が向上する
・外観が美しくなる
・自然災害による破損を防げる
・瓦の落下や紛失を防げる
・雨漏りを防げる
具体的に解説するので、リフォーム工事の検討に役立ててください。
重い瓦屋根を軽い金属屋根に葺き替えると、耐震性が向上する可能性があります。
屋根の重量と耐震性に深い関係があるためです。
また、新しい瓦に防災瓦を選べば災害に備えられます。
瓦屋根をリフォームすると、瓦がずれたり割れたりしていたことで損なわれていた外観が整い、美しさを取り戻せます。
別の屋根材に葺き替えれば、家の雰囲気も変えることも可能です。
瓦以外にも和風の外観に合う屋根材もあるため、業者に相談するとよいでしょう。
瓦は自然災害の影響でひび割れたり、欠けたりする可能性があります。
屋根の状態は普段確認できないため、ひび割れていてもなかなか気づけません。
定期的に点検し、早い段階でリフォームすることで瓦の破損を防げます。
瓦の破損を放置すると雨漏りや害虫の侵入といったリスクが高まり、補修や駆除に費用がかかる可能性があります。
屋根の瓦は、銅線や鉄線で固定したり、釘などで外れにくくしたりと落下しないよう対策が施されています。
しかし、ズレた瓦を放置していると突風で吹き飛ばされ、落下したり紛失したりする可能性が高まります。
瓦は1枚1枚が重いため、落下して人に当たると怪我をさせてしまうかもしれません。
古い瓦ほど落下や飛ばされる可能性が高いため、早めの点検やリフォームがおすすめです。
瓦が割れたり、剥がれたりすると、雨水が浸入しやすくなり雨漏りにつながります。
また経年劣化が進み、瓦の下にある防水シートが破れると防水効果が落ち、雨漏りにつながりかねません。
早めにリフォームを行えば、雨漏りや建物全体に負担がかかるのも防げます。
瓦屋根を葺き替えリフォームする際に使われる主な屋根材
瓦屋根を葺き替えリフォームする際、主に選ばれるのは以下の屋根材です。
・陶器瓦
・軽量瓦
・ガルバリウム鋼板
・スレート
それぞれの特徴と耐用年数を紹介します。
高級感があり、耐久性が高いのが特徴です。
厚みがあるため、遮音性や遮熱性にも優れています。
一方で重量があるため、耐震性を高めたい場合には不向きです。
耐用年数は50～60年です。
軽い素材で作られた瓦で、瓦屋根のまま耐震性を高められます。
瓦が落下した際の怪我や損害のリスクも軽減できます。
基本的に塗り替えの必要がないため、メンテナンスが簡単なのもメリットの一つです。
ただし、一般的な軽量屋根材よりはやや重く、通常の瓦に比べて費用はやや高くなる点に注意しましょう。
また、衝撃に弱いため、飛来物によって割れる可能性があります。
耐用年数は30～50年です。
ガルバリウム鋼板は鉄板にアルミ亜鉛合金をメッキした屋根材です。
金属屋根ですがさびにくく、耐久性が高いのが特徴です。
瓦屋根に比べると非常に軽量で、建物にかかる負担も軽減できます。
リフォーム工事で耐震性を高めたい場合に適しています。
デザイン性が豊富なため和風の家屋にも合わせやすいでしょう。
耐用年数は30～40年です。
スレートはセメントに繊維素材を混ぜて板状に加工された屋根材です。
コロニアルとも呼ばれ、軽量でデザインが豊富、費用を抑えられるといった特徴があります。
屋根の軽量化によって耐震性を高められるほか、金属屋根は雨音が気になるという場合に適しています。
ガルバリウム鋼板に比べるとリフォーム費用は抑えられますが、耐久性では劣る点に注意しましょう。
また塗装や補修といった定期メンテナンスも必要になります。
耐用年数は20～30年前後です。
瓦屋根から他の屋根材へ葺き替えリフォームを行う期間や流れ
瓦屋根から他の屋根材へ葺き替えを行う場合はどれくらい時間がかかるのでしょうか。
瓦屋根のリフォームにかかる期間や施工の流れを解説します。
葺き替えリフォームにかかる期間は、一般的に1週間から10日程度です。
屋根の面積や天候、職人の人数によって異なります。
雨が降ると作業ができなくなるため、雨が多い時期は期間が延びる可能性があります。
また、屋根の形状や周辺環境、足場の設置の有無によっても変わるため、具体的な工期を知りたい場合は、直接業者に確認するとよいでしょう。
瓦から他の屋根材へ葺き替えをする際の基本的な流れは、以下の通りです。
・既存の瓦を撤去する
・垂木を取付ける
・野地板の増し張りをする
・ルーフィングを敷く
・新しい屋根材を設置する
・足場を解体し、清掃する
屋根材の種類や屋根の状態によって、工事の内容は異なります。
たとえば瓦の重量で屋根面が歪んでいる場合、下地調整の作業が必要になります。
詳しい工事の内容は、着工前に業者に確認しましょう。
瓦屋根のまま、屋根を軽量化する方法を紹介します。
かつて、瓦屋根で主流だったのは湿式工法と呼ばれる工法です。
「土葺き工法」とも呼ばれ、杉皮などの下葺き材の上に、大量の粘土を載せて瓦を固定する方法です。
粘土は断熱性が高いものの、重量があるため屋根が重くなっていました。
関東大震災後に主流になったのが乾式工法です。
「引っ掛け桟工法」とも呼ばれ、防水紙で雨水の浸入を防ぎ、桟木という下地木材へ瓦を引っ掛けて固定する方法です。
湿式工法より軽量に仕上がるメリットがあります。
また、桟木によって隙間ができるため、結露防止にも効果的です。
施工時間も短縮できて耐用年数も長いため、工法を変更するのも選択肢の一つです。
瓦屋根のリフォーム工事は依頼できる業者が複数あります。
業者を選ぶ際、次の点に注意しましょう。
・リフォーム内容に合わせて業者を選ぶ
・突然訪問してきた業者は避ける
それぞれのポイントを解説します。
瓦屋根をどうリフォームしたいかによって、依頼する業者が変わってきます。
金属屋根を得意とする業者、瓦屋根を得意とする業者など、それぞれ得意分野が異なるからです。
業者の施工事例などを見て、依頼したいリフォームと同じ実績があるか確認するとよいでしょう。
「屋根の点検を無料で行う」など、突然訪問してくる業者は詐欺の可能性があります。
なかには「瓦が割れている」など不安をあおり、不要な工事を提案する業者もいるため注意しましょう。
突然訪問してきた業者は断った方が無難です。
施工実績や在籍する職人の資格を調べて、信頼できると確信できる業者を選ぶのがおすすめです。
費用を抑えたいからと、DIYでのリフォームを検討する方もいます。
しかし、DIYは以下の点からおすすめできません。
・落下の危険がある
・雨漏りが悪化する
それぞれ解説します。
屋根のような高所での作業は、落下の可能性があり非常に危険です。
屋根は傾斜があり、滑りやすい場所です。
素人では安定した足場の設置も難しく、安全を確保した上での作業が難しいため、無理な作業はやめましょう。
雨漏りを早急に直したくてDIYをする方もいます。
しかし、屋根の構造は複雑で、良かれと思ったDIYが雨漏りを悪化させる可能性もあります。
雨漏りの原因はプロでも判断が難しい場合があるほどです。
また、DIYで使ったセメントなどを撤去するための手間や費用がかかる可能性もあります。
専門知識のある業者に任せた方が安心です。
瓦屋根のリフォーム費用を安くする方法を紹介します。
・補助金や助成金を使う
・火災保険を使う
それぞれ解説します。
耐震性能・耐風性能の向上を目的にリフォーム工事を行う場合、補助金や助成金の対象になる可能性があります。
耐震リフォーム・省エネリフォーム・住宅改修助成金など、さまざまな種類があります。
自治体によって補助金や助成金の詳細が異なるため、調べてみるとよいでしょう。
補助金や助成金に詳しい地元の業者に相談してみるのもおすすめです。
自然災害が原因で瓦がずれた場合など、リフォームの理由によっては火災保険が利用できる可能性があります。
ただし経年劣化は対象にならないため注意しましょう。
また損傷を受けた災害から3年以内に申請する必要があります。
まずは加入している火災保険の内容を確認しましょう。
申請手続きなどの詳細は、保険会社に問い合わせると確実です。
瓦屋根の工事・リフォームは信頼できる業者に依頼しよう
リフォーム業者には、それぞれ得意・不得意があります。
依頼したいリフォーム内容に合わせて、施工実績が豊富な業者を選ぶと安心です。
また突然訪問してきた業者は詐欺の可能性があるため避けるのが無難です。
ホームページで施工実績などを確認し、信頼できる業者に依頼しましょう。
屋根やさん（運営：植田板金店）は瓦屋根のリフォーム実績も豊富です。
見積もりは無料のため、瓦屋根のリフォーム工事を検討している方はお気軽にご連絡ください。
