スレート屋根のメンテナンスはいつすべき？劣化症状や注意点を徹底解説
スレート屋根のメンテナンスに適したタイミングはいつなのか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
スレート屋根はセメントを主成分とした屋根で、耐用年数に応じて適切な処置が必要になります。
本記事ではスレート屋根のメンテナンスが必要な時期や工事内容、注意点などを紹介します。
メンテナンスの重要性や実施方法を理解できるので、ぜひご一読ください。
スレート屋根の耐用年数は10〜30年が目安です。
耐用年数が長いのは、スレート屋根に含まれている主成分が関係しています。
スレート屋根の主成分はセメントでできています。
セメントは、塗装していないと水を吸ってもろくなってしまうため注意が必要です。
日頃から影響を受けやすい紫外線や雨・雪などのダメージが積み重なった結果、スレート屋根を傷つけます。
気候状況によってはスレート屋根の耐用年数は短くなるので、10年しかもたない場合が考えられます。
一方で塗装など定期的なメンテナンスをしておけば、スレート屋根の耐用年数は30年近くまで維持が可能です。
スレート屋根は耐用年数を迎えていなくても、メンテナンスを考えるべき不具合があります。
スレート屋根のメンテナンスが必要になる症状は以下の通りです。
・色褪せ
・コケの発生
・ひび割れ
・反りや欠け
上記の不具合が確認できた場合、メンテナンスの検討が必要になります。
順番にご紹介していきます。
スレート屋根の色褪せは、塗装の効果が切れているサインです。
塗装していたスレート屋根に当てられた紫外線による劣化で、色が薄くなるのが特徴です。
色褪せの原因としては、塗装がきっかけとなることもあります。
たとえば防水性がない劣化した塗料だと水分を吸収しやすい状態になってしまうため、雨漏りが発生する恐れもあります。
スレート屋根の色が薄いと感じたらメンテナンスを実施しましょう。
スレート屋根の色褪せを放置した結果、防水効果の低下からコケが発生します。
塗装の防水効果が切れているため、雨水を常に吸収している状態です。
湿気の強い状態が維持されているので、空気中に舞っているコケの胞子を根付かせて繁殖させます。
コケが発生すると、スレート屋根自体の劣化も早めます。
スレート屋根に茶色の汚れがあった場合、コケが発生している可能性が高いので早急にメンテナンスを実施しましょう。
スレート屋根のひび割れは防水効果の切れた状態が続き、屋根材の歪みから発生します。
防水効果が切れているため、膨張や凍結した屋根が晴れた日に収縮して発生します。
ひび割れを放置し続けてしまうと屋根材が完全に割れてしまい、雨漏りのリスクを高めます。
屋根材が完全に割れてしまう前にメンテナンスを実施しましょう。
スレート屋根が反った症状が一度発生してしまうと元の状態には戻りません。
反りを放置してしまうと、業者が屋根に登っただけで割れてしまうほどもろくなります。
特に夏場の熱による膨張や冬場の凍結によって発生しやすいので、夏や冬は要注意です。
また、台風や地震などの災害が原因でスレート屋根が欠けてしまうこともあります。
損傷部分が広いと屋根全体を変える葺き替え工事が必要になり、費用が高くなります。
スレート屋根のメンテナンス方法は以下の通りです。
・屋根塗装
・カバー工法
・葺き替え
順番に紹介していきます。
屋根塗装はスレート屋根の劣化ペースを遅らせる効果があります。
屋根塗装は、塗り直すだけではなくスレート屋根に付いた汚れを落とす効果もあります。
施工目安は築5〜10年程度です。
ひび割れが発生していた場合、補修を実施してから塗装します。
塗装を実施しておくことで耐用年数を伸ばす効果もあるため、定期的にメンテナンスを実施しましょう。
カバー工法とは、スレート屋根のひび割れや反り・欠けが発生していた場合に実施するメンテナンスのことです。
カバー工法は防音性や遮熱性を高める効果があります。
施工目安は築10〜20年以上です。
カバー工法は屋根のうえに新しく屋根材を被せる工法です。
葺き替え工事よりも安くて短い工期での施工が可能です。
注意点として、カバー工法を行う際に屋根の下地が雨漏りで腐食しているとメンテナンス費用が高くなります。
メンテナンス費用をできる限り安くしたい場合は、早期発見できるよう定期的なメンテナンスを実施しましょう。
葺き替えとは、新しい屋根に張り変える工事のことです。
古い屋根を取り外す工法なので、耐用年数を迎えたスレート屋根におすすめです。
雨漏りの防止にもつながる、というメリットがあります。
コスト削減を目的に葺き替えを実施せずに塗装やカバー工法をするのは、かえってリスクを高めます。
施工目安はスレート屋根の耐用年数が基準になりますが、早ければ築10〜20年以上が基準です。
スレート屋根は種類によって、適切なメンテナンス方法が異なります。
スレート屋根は大きく分けて2種類です。
・天然スレート
・化粧スレート
化粧スレートには以下の3種類に分かれます。
・平板スレート
・厚型スレート
・波型スレート
屋根を長持ちさせるために知っておきたい、屋根材の種類や特徴を紹介します。
天然スレートは、粘板岩と呼ばれる自然の岩石を薄く加工して作られた屋根材です。
耐久性に優れており、ヨーロッパの古い城や教会などで広く使用されてきました。
しかし、天然素材であるため高価であり、重量があるという特徴があります。
近年の一般住宅では使用されることが少なくなりました。
化粧スレートは、セメントや繊維などの素材を混ぜ合わせて作られる人工の屋根材です。
天然スレートと比べて安価で軽量であり、施工も比較的簡単に行えるメリットがあります。
製造過程で色や形状を自由に調整できるため、色やデザインのバリエーションが豊富です。
手軽さとデザイン性から、現代の住宅に広く使用されています。
平板スレートは、化粧スレートの一種でその名の通り平らな板状の形状をしています。
薄くて軽量かつ表面がフラットなため雨水や雪が滑り落ちやすく、屋根への負担が少ないのが特徴です。
シンプルで洗練された外観を持ち、モダンな建築デザインによく合います。
しかし、薄いため強風や衝撃に対する耐久性はやや劣る点が挙げられます。
厚型スレートは平板スレートよりも厚みがあり、重厚感のある仕上がりが特徴です。
強度と耐久性が高く、風や雨に対しても優れた耐性を持っています。
ただし重量があるため、屋根の構造に十分な強度が求められる点は注意しましょう。
波型スレートは波状の形状を持つスレートで、主に工場や倉庫などの大型建物に使用されることが多いです。
雨水を効率的に排水する形状のため雨漏りに対する防水性能が高く、コストパフォーマンスに優れています。
しかし、デザイン面で住宅用としては好まれないこともあるので注意してください。
スレート屋根はさまざまなメリットがあります。
・軽量で耐震性が高い
・デザイン性に優れている
・施工業者が多い
・遮音性が高い
それぞれのメリットについて詳しく説明します。
スレート屋根は非常に軽量な屋根材であるため、建物全体にかかる負担を軽減します。
地震などの災害時でも建物の耐震性が高いため、建物の構造体への負担を軽減し、長期的な安定性を確保しやすいです。
万が一屋根材が落下するような事態が発生しても、軽量であるため被害を最小限に抑えられます。
スレート屋根はさまざまな色や形状のものがあり、建物の外観に合わせて自由にデザインを選べます。
伝統的な瓦風のデザインや木目調、落ち着いた色や鮮やかな色など、多様な選択肢があるのが魅力です。
洋風建築や和風建築を問わず、どのような物件にも調和するデザインを実現します。
スレート屋根は日本国内で広く普及しているため、施工業者の数も非常に多いです。
施工が比較的簡単であるため多くの業者が対応可能であり、希望に合った業者を見つけやすいというメリットがあります。
また競争原理が働くため、適正な価格で高品質な施工を受けられる可能性も高いといえます。
スレート屋根は、金属製の屋根材と比べて遮音性が高いというメリットがあります。
特に住宅地や交通量の多い場所だと雨音や外部の騒音を遮断し、室内を静かに保つことが可能です。
スレート屋根は軽量で耐震性が高いなど多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあります。
・塗装メンテナンスが必要
・ひび割れしやすい
・雨漏りが起こりやすい
デメリットを理解し適切なメンテナンスを行えば、スレート屋根の外観と機能を長く保つことは可能です。
スレート屋根を活用するデメリットを確認しましょう。
スレート屋根の表面には塗装が施されており、塗装が屋根材を保護する重要な役割を果たしています。
しかし屋根は紫外線や雨風に日々晒され、塗装は徐々に劣化してするため定期的な塗装メンテナンスが必須です。
メンテナンスを怠ると屋根材自体の劣化が進み、耐久性や防水性が低下する恐れがあります。
ただし定期的な塗装は屋根の寿命を延ばす効果がありますが、その分メンテナンス費用がかさむので注意しましょう。
スレート屋根は衝撃や急激な温度変化に弱く、ひび割れしやすいという特性があります。
落下物や強風による飛来物、台風などの自然災害によって簡単にひび割れや損傷が発生しやすいです。
定期的な点検を行い、ひび割れや損傷が発見された場合には迅速に修理を依頼することが重要です。
スレート屋根は経年劣化や施工不良によって雨漏りが発生しやすいという問題もあります。
塗装剥がれやひび割れがある場合、そこから雨水が浸入する確率が高いです。
雨漏りが発生すると建物の構造や内装材を傷めたり、カビやダニの発生原因となったりする可能性があります。
定期的な点検とメンテナンスを行い、雨漏りのリスクを軽減しましょう。
スレート屋根を長持ちさせるには塗装での定期的なメンテナンスが大切
スレート屋根を長持ちさせるには塗装での定期的なメンテナンスが大切です。
なぜなら、スレート屋根の主成分はセメントでできているからです。
セメントは防水性が低い素材で、塗装効果が薄れたり切れていたりすると、雨水などを吸収しコケを発生させます。
コケの発生を放置し続けてしまうと、ひび割れや反りなども発生します。
コケやひび割れなどの発生原因である防水性の低さを解決するには、塗装による定期的なメンテナンスが大切です。
塗装での定期的なメンテナンスを実施しておけば耐用年数が長くなります。
手遅れになる前に、スレート屋根を塗装するなど定期的なメンテナンスをおすすめします。
スレート屋根のメンテナンスで塗装を行う際は、「屋根自体の耐用年数を伸ばす」と勘違いしないよう注意しましょう。
ひび割れや反りなど劣化が激しい症状への対処には適していないので、あくまで「予防策」と捉えておく必要があります。
また塗装は「縁切り」と呼ばれる雨漏り対策の作業も行います。
縁切りを含めた工事は、カバー工法や葺き替えよりも工期が長くなります。
工期が長くなることからDIYを検討する方もいますが、おすすめはできません。
屋根メンテナンスのDIYは高所での作業を要するため、危険性が高まります。
塗装をする際に扱う塗料の素材にはさまざまな種類があるので、環境にあった塗料を選ばなくてはいけません。
DIYでメンテナンスを実施したからといっても業者よりも仕上がり面で劣る可能性が高いため、おすすめはできません。
スレート屋根のメンテナンス費用は、さまざまな要因によって大きく変動します。
主な要素は、以下の3つです。
・メンテナンスの内容
・メンテナンスを行う範囲
・交通費や現場周辺の環境
メンテナンスを依頼する際は、信頼できる業者ときちんと打ち合わせを行うことが大切です。
それぞれの要素について説明します。
スレート屋根のメンテナンス費用は、実施する作業の内容によって大きく変動します。
簡単な補修や部分的な塗装は比較的安価に行えますが、屋根全体の葺き替えやカバー工法を行う場合は費用が高くなりがちです。
また足場設置の有無によっても費用が大きく影響し、足場の設置が必要な場合は足場設置費用が別途かかるので注意しましょう。
メンテナンスを行う範囲も、費用を左右する重要な要素です。
屋根の一部だけを補修する場合は低コストで済みますが、屋根全体を対象とするメンテナンスコストが高くなります。
特に広範囲の塗装や大規模な修繕が必要な場合、その分だけ材料費と作業費がかさむので注意してください。
メンテナンス費用の中でも、見落としがちなのが交通費や現場周辺の環境による影響です。
遠方の業者に依頼する場合、交通費が上乗せされることで全体の費用が高くなる可能性があります。
また足場が設置しにくい場所や車両の乗り入れが難しい場所、屋根の勾配が急な場合なども注意が必要です。
資材の運搬に手間と時間がかかる、作業が困難になるなどの理由で、費用が高額になる可能性があります。
スレート屋根のメンテナンスを依頼する業者選びのポイント
スレート屋根のメンテナンスを依頼する際には、以下のようなポイントに注意して業者を選びましょう。
・資格、実績の有無
・担当者の対応
・口コミや評判の内容
・保証の有無
それぞれのポイントを解説します。
業者選びの際には、屋根工事に関する国家資格を持っているか確認しましょう。
資格を持つ業者は、一定の知識と技能を有していることを証明しています。
スレート屋根の施工実績が豊富な業者を選ぶと、適切な施工を行ってくれるので安心です。
資格や過去の実績は、ホームページや会社紹介パンフレットなどから確認できます。
業者選びにおいて、担当者の対応も重要な判断材料です。
担当者の説明が丁寧で、質問にしっかりと答えてくれるかどうかを確認しましょう。
現場調査の際の対応や見積もりの説明がわかりやすいかどうかをチェックしてみてください。
専門用語を多用せず素人にもわかりやすく説明してくれる担当者は、コミュニケーション能力が高くトラブルに発展するリスクが少ないと考えられます。
業者を選ぶ際は、口コミや評判の内容も参考にしましょう。
インターネット上の口コミサイトやレビューを検索したり、実際に依頼経験のある知人に体験談を聞いたりするのがおすすめです。
業者のホームページで施工事例やお客様の声をチェックすると、業者の信頼性や技術力をより詳しく確認できます。
施工後の保証は長期的な安心につながるため、確認したい重要なポイントの1つです。
保証があれば施工後に不具合が発生した場合でも、追加費用なしで修理してもらえる可能性が高くなります。
どのような保証内容か、保証期間はどのくらいか、瑕疵担保責任保険に加入しているかなどを確認しましょう。
瑕疵担保責任保険に加入している業者ならば、万が一業者が倒産した場合でも、保険会社が保証を引き継いでくれる可能性があります。
スレート屋根のメンテナンスをせずに放置してしまうと、建物全体の耐用年数が短くなります。
築年数や症状次第では、塗装ではなく葺き替えが必要になります。
メンテナンス費用がより高くなる場合もあるので注意しましょう。
スレート屋根のメンテナンスを放置した場合、雨漏りの発生リスクを高めてしまいます。
雨漏りが発生すると、屋根の下地まで腐食して葺き替えが必要になります。
コケやひび割れなど、見た目に影響する症状もあるので定期的なメンテナンスがおすすめです。
スレート屋根のメンテナンスはタイミングを見極めて定期的に行おう
本記事ではスレート屋根のメンテナンスについて、目安になる耐用年数や症状を踏まえ、メンテナンス方法や長持ちさせるコツなどを紹介しました。
スレート屋根の症状次第ではメンテナンス方法が異なり、費用や工期が変動します。
スレート屋根は主成分がセメントなので、屋根自体の見た目にも影響します。
劣化したまま放置すると雨漏りの発生リスクを高めてしまい、かえって費用が高くなるので注意が必要です。
今回ご紹介した内容を踏まえ、スレート屋根の定期的なメンテナンスの重要性を再確認しましょう。
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