カバー工法を利用できる屋根材の種類とは？修理に不向きなケースも紹介
屋根のリフォームを考える際、多くの方は屋根塗装を思い浮かべるかもしれません。
屋根塗装は比較的安価に屋根の美観を回復させる方法ですが、屋根が劣化して雨漏りを引き起こしている場合には塗装だけでは不十分です。
屋根のリフォームなら、屋根カバー工法がおすすめです。
屋根カバー工法とは既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材を被せるリフォーム方法で、費用や工期を抑えられます。
本記事では、屋根カバー工法の種類や特徴について解説します。
屋根のリフォームをご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
屋根カバー工法で活用できる主な屋根材の種類は以下のとおりです。
・ガルバリウム鋼板
・SGL鋼板（次世代ガルバリウム鋼板）
・ジンカリウム鋼板
・軽量瓦
・アスファルトシングル
それぞれの特徴について解説します。
ガルバリウム鋼板はアルミニウムや亜鉛、シリコンでコーティングされた鋼板です。
軽量で耐久性が高く、耐候性や耐腐食性にも優れています。
錆びにくく、メンテナンスが少なくて済むため、多くの住宅や建物で採用されています。
SGL鋼板はガルバリウム鋼板の進化版で、マグネシウムを加えたコーティングが施されているので耐食性がさらに向上しています。
厳しい気候条件でも劣化しにくいのが特徴で、海沿いや酸性雨の影響がある地域に最適です。
ガルバリウム鋼板よりも耐久性が高いため、やや高価でもあります。
ジンカリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛を合金化したコーティングを持つ鋼板です。
ガルバリウム鋼板に類似していて、耐腐食性や軽量性に優れており、建物への負荷が少ないのが特徴です。
断熱性は低いため、断熱材と組み合わせて使用することが多いといわれています。
軽量瓦は、セメントや特殊な樹脂などで作られ、軽量なため建物への負担が少ないのが特徴です。
伝統的な瓦の風合いを持ちながら断熱性が高く、夏場でも快適に過ごせます。
ただし樹脂製など一部の素材は紫外線に弱く、長期間の耐久性がやや劣る場合があるので注意しましょう。
アスファルトシングルは、アスファルトを浸透させたガラス繊維のマットに鉱物粒子を施した屋根材です。
柔軟性があり複雑な形状の屋根にも対応できるため、デザイン性が求められる場面でよく利用されます。
カラーバリエーションも豊富で、デザインの自由度が高いのも魅力です。
しかし金属製の屋根材に比べて耐久性が低く、熱や寒さに対する耐性もやや劣ります。
屋根カバー工法は、費用や工期を抑えたい方にとって魅力的な選択肢ですが、屋根の状態や使用する屋根材に応じて適切かどうか慎重に判断しましょう。
屋根カバー工法のメリット・デメリットは以下を参考にしてください。
【屋根カバー工法のメリット】
・費用を抑えられる
・工期が短い
・断熱性、遮音性、防水性の向上
屋根カバー工法は既存の屋根を撤去せず、その上に新しい屋根材を重ねるため、撤去費用がかかりません。
屋根の撤去作業が不要なため、工事にかかる日数が大幅に短縮されます。
新たに重ねる屋根材が断熱性や遮音性を向上させるため、室内環境が快適になり、防水性が高まることで雨漏りのリスクを減少します。
【屋根カバー工法のデメリット】
・屋根が重くなる
・内部（下地）の傷みが進んだ屋根には適さない
・施工できる屋根材に制限がある
既存の屋根の上に新たな屋根材を重ねるため屋根全体の重量が増し、建物の構造に負荷がかかり、耐震性に影響を与える可能性があります。
屋根の下地がすでに劣化している場合、その上に新しい屋根材を重ねても根本的な問題は解決されません。
下地の補修が必要な場合には、別の工法を検討する必要があります。
施工前に専門業者による現地調査を行い、最適な工法を選ぶことで、後悔のないリフォームを実現できます。
屋根の種類や状態によっては、カバー工法が向いていない場合もあります。
屋根カバー工法に向いていない屋根の種類や状態は以下のとおりです。
・屋根の劣化が激しい
・屋根が重い
・屋根の形状が複雑
・屋根にアスベストが含まれている
事前に専門業者に相談し、自宅の屋根に最適な方法を選ぶことが重要です。
それぞれの概要について紹介します。
既存の屋根材やその下地が著しく劣化している場合、屋根カバー工法は適していません。
劣化した下地の上に新しい屋根材をかぶせると、屋根全体の耐久性が低下し、将来的にさらなる損傷を引き起こすリスクがあります。
劣化が激しい場合は、既存の屋根材をすべて撤去し、下地の補修や交換を行った後に新しい屋根材を葺く「葺き替え工法」がおすすめです。
瓦屋根や厚みのあるスレート屋根のように既存の屋根材が重い場合、新しい屋根材を重ねると、建物の構造に過剰な負荷がかかります。
特に耐震性に影響を与え、地震時に危険性が増す可能性があるので注意しましょう。
波型の形状の瓦屋根のような形状がフラットでない屋根は、カバー工法に不向きです。
隙間が生じたり、施工が難航したりするリスクがあるので、雨漏りになる確率が高くなります。
古いスレート屋根や一部の屋根材には、アスベストが含まれている場合があります。
アスベストを吸い込むと健康被害を引き起こす可能性が高いので、飛散しないよう慎重に対応してください。
アスベストを含む屋根材を安全に処理するためには、屋根のリフォームは専門業者に必ず依頼しましょう。
屋根カバー工法のコストを抑えるためには、いくつかのコツを押さえることで、無駄な出費を避けて費用を削減できます。
自然災害による損傷が原因で屋根カバー工法を行う場合、火災保険が適用されることがあります。
ただし経年劣化と判断されると火災保険は適用されないので、事前に必ず保険会社に問い合わせましょう。
地域によっては、屋根の修理やリフォームに対して補助金や助成金が利用できる場合があります。
申請には期限や条件があるため、早めに確認することが大切です。
屋根カバー工法を行う際に、外壁の修理も同時に依頼すると、足場の設置費用が一度で済みます。
複数のリフォームを同時に行うことで、全体的な費用を抑える工夫も有効です。
火災保険や助成金の適用可能性を確認し、信頼できる業者に相談してみることをおすすめします。
屋根のカバー工法を依頼する際、どの業者に依頼するかが成功の鍵となります。
地域に根ざした業者は、地元での信頼度が高い場合が多く、地域特有の気候や風土に適した丁寧な仕事を行うことが多いです。
自社職人がいる業者は、施工の品質が安定しやすい特徴があります。
下請けに依頼する場合に比べ、指示の行き違いやコミュニケーション不足によるトラブルが少なく、施工の一貫性が維持しやすいです。
一級建築士や屋根工事に関連する資格を持つスタッフが在籍しているかどうかも確認しましょう。
建設業許可を持つ業者は一定の基準を満たしていることが保証されており、信頼性が高いともいえます。
屋根やさん（運営：植田板金店）が施工した屋根カバー工法の事例を2つ紹介します。
屋根やさんではどのような施工を行っているのか、参考までにご覧ください。
屋根カバー工法により古い屋根が新しい金属屋根に変わり、家全体が明るく現代的な印象に変わりました。
また見た目の美しさだけでなく、耐久性も向上しました。
施工前は、屋根全体に汚れや経年劣化が見られ、防水性や見た目に問題がありました。
しかし、施工後は清潔で美しく、耐久性も向上して家全体がより魅力的に見えます。
屋根や建物の状態、屋根材の種類によっては、カバー工法以外の方法で修理しなければなりません。
カバー工法以外の屋根修理の種類は、以下の2つです。
・塗り替え
・葺き替え
それぞれの特徴を紹介します。
塗り替えは、既存の屋根に対して新たに塗装を施す方法です。
塗装することで、屋根の防水性や美観を改善し、寿命を延ばせます。
塗膜は紫外線や雨風から屋根材を守る役割を果たすので、塗り替えにより屋根材の劣化を遅らせることが可能です。
葺き替えは、古い屋根材をすべて取り除き、新しい屋根材に交換する修理方法です。
屋根の劣化が進んでいて、塗り替えや部分的な修理では不十分な場合に行われます。
全面的な修繕の場合、古い屋根材や防水シートを取り除き、新しいものに交換するため、屋根全体の耐久性が大幅に向上するのが魅力です。
葺き替え時には、屋根の下地の状態も確認し、必要に応じて補修や交換が行われるので屋根の構造的な強度も向上します。
最新の屋根材や既存と異なるデザインのものを選べるので、住宅の外観を一新することも可能です。
屋根カバー工法を検討する際、使用する屋根材の種類を理解することが重要といえます。
屋根材の種類を適切に選ばなければ、施工の仕上がりに大きく影響するからです。
使用する屋根材によっては、工事の費用や耐久性が大きく変わるため、事前に専門業者に相談して自宅に合った施工を選びましょう。
▼関連記事
屋根カバー工法のメリット・デメリットと葺き替えとの違いを解説
