軒天に修理は必要？費用が変動する原因や耐用年数、修理方法を紹介
「軒天（のきてん）に定期的なメンテナンスや修理は必要？」
「軒天を修理する方法とは？」
このように軒天に耐用年数があることや修理が必要であるという認識を持つ人は少なく、軒天が劣化や破損していても放置してしまう人もいます。
しかし、軒天の故障を放っておくと雨漏りや害獣が住みつくなどの危険性があります。
本記事では軒天のメンテナンスの重要性や耐用年数、修理が必要なケースについて詳しく解説します。
外壁と同様に軒天も耐用年数があり、劣化具合によって劣化の程度に応じて修理が必要になることを知っておきましょう。
軒天のメンテナンスは美観の維持だけでなく、建物の耐久性と安全性を保つためにも非常に重要です。
強風や激しい雨などの自然災害や劣化によって、軒天が破損したり剥がれたりする可能性があります。
台風の後などは目視で確認するだけでも十分ですので、現状をチェックしましょう。
軒天がメンテナンスされていないと害獣や昆虫が巣を作りやすくなり、建物への損害だけではなく健康リスクとなることがあります。
ほかにも外壁や軒天の劣化が進み、建物全体に雨水が浸入するかもしれません。
早めのメンテナンスはこれらの問題を未然に防ぎ、建物全体の寿命を延ばす重要な作業です。
気になる症状があれば、早急に専門業者へ相談しましょう。
軒天とは外壁から外側に突き出している屋根の裏の部分のことで、軒天井や軒裏あるいは軒下とも呼ばれます。
軒天の役割は屋根の構造部分を隠し、建物の見た目を整えるほか、雨水や日差しが壁に直接当たるのを避けて劣化を予防する効果もあります。
また火災が起きたときに延焼を防ぎ、有孔板や換気口を取り付けることで屋根裏の湿気を逃がすのも軒天の重要な役割です。
軒天の耐用年数は10年が目安です。
使用される材料や気候条件、定期的なメンテナンスの実施などにも大きな影響を受けます。
軒天は雨や紫外線に直接当たらない部分であるものの、劣化しないわけではありません。
湿気がこもりやすい場所だからこそ、軒天材が剥がれや腐食の心配があります。
外壁や屋根同様、定期的なメンテナンスがおすすめです。
軒天の修理費用の主な変動要素は以下のとおりです。
・どの修理方法を実施するか
・軒天の劣化は軽度か重度か
・足場の有無
・使用する塗料や屋根材の種類
それぞれどの部分で費用に差が出るのか解説します。
軒天の修理をする場合は、どの修理方法で直すのかによって金額に差が出ます。
軒天の主な修理方法は、再塗装・カバー工法（重ね張り）・張り替えの3種類です。
色褪せや軽度の剥がれのみの場合は、表面を塗装するだけで補修でき、工期が短く材料費もそれほどかからないため修理費用を抑えられます。
軒天は劣化しているものの、屋根の下地がそのまま使える場合は、新しい部材を上から張り付けるカバー工法（重ね張り）を使います。
既存の軒天を解体する手間がかからず処分費用を抑えられるため、張り替えをするよりは費用がかかりません。
屋根の下地も劣化が進んでいる場合は、既存の軒天を撤去して新しい部材を取り付ける張り替えが必要です。
新しい軒天材の購入費用や既存の軒天材の処分費用がかかり、手間もかかるため修理費用が高くなります。
このように修理費用は軒天の劣化状態や建物の立地、素材などによって費用が異なります。
塗装だけなら費用を抑えられるものの、劣化が進んでいてカバー工法（重ね張り）や張り替えになると費用は上がります。
定期的なメンテナンスを行い、劣化が軽微なうちに補修をすることが費用を抑えるポイントです。
素人では判断が難しいケースも多いので、まずは見積もりをお願いしましょう。
軒天の修理をする場合、軒天がどのくらい劣化しているかによっても修理費用に差が出ます。
軒天の劣化が軽度な場合は表面の再塗装だけで済み、修理費用も抑えられます。
ただ屋根の下地部分まで腐食している場合は、下地を作り替えなければいけないため、修理費用がかさんでしまいます。
修理費用を抑えるためにも、軒天の異常を見つけたらできるだけ早く業者に修理を依頼しましょう。
軒天の修理をする際は、足場を設置するかどうかで費用が変わります。
高所の場合は足場を組む必要があり、追加で足場代がかかります。
特に3階建ての住宅の場合は足場を設置する手間がかかるため、さらに費用が高くなることを念頭に入れておきましょう。
軒天の修理を依頼する際は、足場代も含めた見積書を業者に提出してもらい、事前にいくらかかるのか把握しておいてください。
軒天の修理をする際、使用する塗料や屋根材によっても金額が異なります。
軒天に使用する屋根材は、木材系・不燃材・金属系があります。
カラーベニヤや化粧合板などの木材系は、比較的安価なのが特徴です。
しかし経年劣化で接着力が弱まり、表面が剥がれる場合があります。
珪藻土などを混ぜて固めた不燃材のケイカル板は、耐火性や防湿性に優れており、金属系の屋根材よりは価格が低いのが特徴です。
ただし不燃材の軒天材は吸水性が高いため、施工する際は防水加工が必要です。
ガルバリウム鋼板などの金属系の屋根材は耐久性が高く、メンテナンス回数を減らせます。
なお金属系の屋根材は比較的高額なため、他の屋根材と比べると初期費用はかかります。
軒天の修理方法には下記の3つがあります。
・再塗装
・カバー工法（重ね張り）
・張り替え
それぞれの違いを紹介します。
軒天の劣化症状が塗膜の劣化や色褪せなど軽度の場合、再塗装によって問題を解決できます。
再塗装を施すことで、美しい外観の維持だけでなく耐久性や耐水性などの性能も向上します。
軒天のみの塗装も可能ですが、足場を組む場合もあるので外壁と同じタイミングで専門業者に依頼することが一般的です。
ただし軒天材の状態によっては、塗装だけでは対応できない場合もあります。
その際には、再塗装ではなくカバー工法や軒天材の張り替えなどを検討しましょう。
軒天材が劣化しているものの、下地に問題がなければ既存の軒天材の上から新しい軒天材を重ね張りする工法（カバー工法）もあります。
この方法は塗装よりも費用や時間がかかりますが、張り替えに比べると手頃な費用で施工できます。
希望があれば、不燃材や金属など木材以外の素材にも変更可能です。
ただし軒天や下地が激しく傷んでいる場合は、カバー工法でも対応できません。
完全な張り替えが必要となることもあるので、信用できる専門業者に相談が必要です。
劣化や損傷がひどい場合や下地にも影響がある場合は、張り替えが必要です。
軒天の張り替え作業では、いまの軒天材を取り外して新しい素材に交換します。
劣化の進行具合によっては、軒天材だけでなく下地の補修も必要なことがあります。
こちらも信頼できる専門業者に相談して劣化の具合を見てもらい、具体的な修理方法を確認しましょう。
軒天に修理が必要な劣化症状には下記のようなものがあります。
・軒天の破損や劣化
・汚れや色褪せ
・塗膜の剥がれや浮き
・カビ、藻、苔の発生
・雨染みや黒ずみ
それぞれの症状について解説します。
雨風や紫外線を受け続けることで、軒天の表面が破損したり劣化したりする場合があります。
軒天が破損したり劣化したりすると本来の機能を発揮できず、雨水が内部まで入り込んで雨漏りの原因になる恐れがあります。
軒天が劣化している場合は塗装してもすぐに剥がれてしまうため、下地板ごと交換が必要です。
屋根の裏側に設置されている軒天は、日光の照り返しにより変色したり色褪せたりする場合があります。
軒天の汚れや色褪せが目立つと建物の景観を損ねるため、再塗装するのがおすすめです。
再塗装すれば見た目がきれいになるだけでなく、防水性などを高める効果も期待できます。
経年劣化や雨風、紫外線の影響で、軒天の塗膜が剥がれたり浮いたりする場合があります。
塗膜が剥がれると軒天自体の劣化が進み、そこから雨水が入り込みやすくなります。
軒天の塗膜が剥がれたり浮いたりしている場合は、再塗装して防水性を高めておきましょう。
日の当たらない北側や湿気がたまりやすい環境だと、軒天の表面にカビや藻、苔が生えやすくなります。
カビや藻、苔が生えている場合は建物の美観が損なわれるだけでなく、屋根の内部の雨水が適切に排水できておらず、防水機能が低下している恐れがあります。
カビや藻、苔の発生は雨漏りが起こる前兆であるため、できるだけ早く補修を依頼しましょう。
軒天の表面に雨染みや黒ずみがある場合は、すでに雨漏りが起きている可能性が高いです。
軒天の内部や周囲の建材も腐食している恐れがあるため、早急に修理を依頼してください。
軒天は見上げればすぐに目につくところなので、このような劣化や症状があれば専門業者に相談しましょう。
進行が進むと軒天だけではなく、下地や建物の構造部分にまで腐食が進み雨漏りや建物の強度に影響します。
軽度な劣化だと簡単な補修やメンテナンスで済むものの、大きな工事になると費用も時間もかかります。
軒天は雨水から外壁や建物を守る役割があるので放置すると良くありません。
軒天の修理をせず放置すると下記のような危険があります。
・雨漏りが発生する
・建物の強度に影響がある可能性がある
・強風で屋根が剥がれることもある
・害獣が住みつく危険性がある
これらの危険について、それぞれ詳しく説明します。
軒天の塗装機能の低下や剝がれ、損傷が原因で雨漏りが発生することがあります。
建物の屋根の先端に位置する軒天は、外部の気象条件から建物内部を保護する重要な要素です。
しかし軒天が劣化すると、雨水が建物内部に浸入しやすくなります。
雨漏りが発生して天井や壁の構造物、電気配線、家具などに水がかかると大きな問題です。
木材の腐敗や金属の錆び、電気設備の故障など損害の種類は多岐にわたります。
水が浸入することでカビや発露性アレルゲンの発生が促進され、健康への影響も懸念されます。
雨漏りは建物全体に深刻な損害をもたらすため、定期的なメンテナンスと迅速な対応が建物を守るために不可欠です。
軒天の機能不全が建物の強度や構造に影響を及ぼす可能性があります。
軒天が正しく機能しないと、雨水やその他の気象条件から建物を十分に保護できません。
塗装の劣化などの不具合により、軒天から雨水が染み込むと構造部分が腐食してしまいます。
腐食が進行すると建物の安定性や強度に影響を及ぼし、最終的には建物全体の耐久性が低下するおそれがあります。
定期的に建物全体の点検を行い、構造部分の劣化や損傷を早めに発見して適切に対処しましょう。
軒天の小さな剥がれや穴でも、強風が吹き込むと屋根が剥がれる可能性があります。
屋根が剥がれることほどではなくても、放置すると台風・強風時に軒天が大きく剥がれてしまうかもしれません。
軒天材に剥がれや浮きを発見したら、できるだけ早く対処する必要があります。
軒天の隙間を修理せず放置していると、屋根裏に鳥やネズミなど害獣が住みつく危険性があります。
鳥獣保護管理法では「鳥獣を捕獲または殺傷すること」や「鳥類の卵を採取・損傷すること」が厳しく禁止されています。
そのため卵やヒナがいる状態では巣を撤去できません。
しかし鳥獣の騒音やフンなどの被害が生じると、その影響は蓄積され衛生環境も悪化してしまいます。
ネズミなどの害獣が住みついた場合、電気配線の噛み切りなどの問題が発生し、建物に損害が生じることがあります。
軒天の不具合を放置すると、害獣が住みつく危険性があることを認識しておきましょう。
ここでは軒天の修理を自分で行うべきではない理由を解説します。
屋根の内側にある軒天の修理は、高所での作業になるため危険が伴います。
万が一屋根から転落してしまった場合、大けがを負うリスクがあるため、無理をせず専門業者に修理を依頼しましょう。
また軒天の修理には専門的な技術が必要なため、はじめから専門業者に任せるのがおすすめです。
修理費用をかけたくないからとDIYで直そうとすると、後から手直しが必要になり、かえって出費がかさんでしまいます。
これらの理由から軒天の修理は自分で行わず、専門業者に依頼することをおすすめします。
軒天の修理にかかる費用を抑える方法は以下のとおりです。
・火災保険が適用できるか確認する
・地方自治体の補助金や助成金を活用する
・リフォームローンを使う
軒天の修理費用をできるだけ安くしたい方は、これから紹介する方法を試してみてください。
軒天の修理をする際は、火災保険が適用されるか確認しておきましょう。
台風や地震などの自然災害が原因で軒天が損傷した場合、火災保険を使える可能性があります。
火災保険を使うことで修繕費用を補てんでき、経済的な負担を軽減できます。
ただ経年劣化や施工不良、人的な破損などが原因の場合は、保険が適用されない可能性が高いです。
まずは保険会社に問い合わせ、火災保険の適用の範囲かどうか確かめてみてください。
軒天の修理をする場合は、地方自治体の補助金や助成金も活用しましょう。
各自治体では工事費の一部を補助金や助成金として支給しているところがあります。
軒天の修理でも、住宅リフォームや耐震改修工事補助事業などの支給の対象となるケースがあります。
ただ年度内の予算が無くなり次第、支給を終了する場合もあるため、施工業者や各自治体の窓口で相談してみてください。
なお、自治体ごとに補助金や助成金の支給対象や金額が異なるので、事前に確認しておきましょう。
修理費用の支払いを分割にしたい場合は、リフォームローンを使う方法もあります。
家のリフォームの際に借り入れできるリフォームローンを活用することで、修理費用を少額ずつ返済できます。
修理費用を一括で支払うのが厳しいという方は、リフォームローンの利用も検討してみてください。
軒天の修理を依頼する際、主に以下の流れで工事が進められます。
・既存の軒天を撤去する
・新しい屋根材を張り付ける
・継ぎ目や接合部分のすき間をシーリングで埋める
・軒天の表面を塗装する
・軒裏換気口や有孔板を取り付ける
それぞれの作業工程について解説しますので、軒天の修理がどのように行われるのか気になっている方はチェックしてみてください。
まずは傷んでいる軒天の屋根材を撤去します。
屋根材を撤去したら軒天の内部を確認し、土台部分が傷んでいないかチェックします。
屋根の土台部分も劣化している場合は、新しい部材に交換しなければいけません。
軒天の構造部分の確認や補修が終わったら、新しい屋根材を取り付けます。
ベニヤ板やケイカル板を使用する場合は、ステープルガン（タッカー）と呼ばれる工具を使って取り付け、厚みのあるベニヤ板の場合は釘で固定します。
屋根材を取り付けたら、壁面との間にすき間ができないようシーリング材でふさぎます。
シーリング材で補修することで、雨水が軒天の内部に入り込むのを防げます。
シーリング材が固まったら、仕上げに軒天の表面を塗装します。
軒天の表面を塗装することで、雨や風、紫外線などの外部刺激から軒天を保護できます。
内部結露またはカビや苔が発生している場合は、軒天に換気口や有孔板を取り付けるのがおすすめです。
換気をしたり軒天の風通しを良くしたりすることで、快適な住環境を保てるため、修理の際は換気口や有孔板を設置することも検討してみてください。
軒天は外壁と比べて意識的に見上げる必要があるため、劣化に気付かない人も少なくありません。
軒天の耐用年数は10年程度なので、そのタイミングでメンテナンスを依頼するようにしましょう。
もし10年経っていなくても、この記事で紹介したような劣化症状があれば、専門業者にお願いすることをおすすめします。
劣化を早期発見できれば費用も時間も最小限で済みます。
信用できる業者に、外壁以外で劣化が発生していないか確認してもらうと安心です。
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