軒樋(のきとい)の金具の種類や選び方、金具のピッチなどを解説
「交換するときに注意することを知りたい」
このように思うことはないでしょうか。
軒樋についている金具は、軒樋を固定する重要なパーツです。
交換の際に適切な種類のものを選んで正しく設置しないと、強度の低下や不具合の危険があるので、注意が必要です。
本記事では軒樋の金具の概要や金具の種類、選び方、金具のピッチ、設置する際の注意点などを解説します。
軒樋の金具でお悩みの方はぜひご覧ください。
軒樋(のきとい)の金具の概要
縦樋は軒樋から地面へとつながる雨樋で、雨水を地面へ排出します。
軒樋の金具とは、軒樋を固定するための専用の留め具のことです。
専用の金具を使用しないと、形状が合わずに設置できないことがあります。
仮に設置できたとしても強度が低下してしまうため、専用の金具を使用する必要があります。
軒樋の金具はステンレス製などの金属製のものだけではありません。
金属製以外にもメッキ製やポリカーボネート製、ステンレスとポリカーボネートを組み合わせたものもあります。
住んでいる地域の積雪量や風速などによっても、使う金具の種類や取り付けピッチ(取り付ける金具と金具の間隔)が異なります。
軒樋の金具は適切に選んで設置しないと、軒樋が変形したり破損したりする可能性があるため、注意が必要です。
軒樋(のきとい)金具の選び方と種類
軒樋に使用する金具の種類を紹介します。
軒樋金具は次の5項目を基に選定します。
①軒樋の種類
②軒樋の固定方法(上から吊るか下から受けるか)
③金具を取り付ける壁面の角度
④金具の固定方法
⑤屋根の納まりによる軒樋の出寸法
軒樋と言っても色々なメーカーから発売されていて、1つのメーカーから5〜10種類くらいは発売されています。
今回はそれら中から植田板金店がメインで取り扱っているパナソニック社製の角とい『シビルスケア PC-50』の金具を例に説明していきます。
これから出てくる図の黄色い部分が金具、赤い部分は軒樋です。
軒樋(のきとい)の金具は吊るか受けるかの2タイプ
軒樋の金具は大きく吊金具と受金具の2タイプに分けられます。
簡単に言うと軒樋を上から吊るか、下から受けるかの違いです。
上から吊った方が軒樋の外観はすっきりしますが、60㎝から1mピッチごとに軒樋内側へ金具があるため、軒樋の中のごみ掃除は非常にやりにくいです。
下から受けるタイプは60㎝ピッチで金具が見えるため昔ながらの外観になるのと、軒樋掃除は非常にやりやすくなります。
半丸タイプの軒樋だと下から受ける受金具のみになります。垂直の破風板(鼻隠し)がある場合に使用する軒樋金具
垂直の破風板(鼻隠し)がある場合、正面打ちタイプの金具を使用します。
正面打ちタイプは金具が見えてしまうため、外観を損なわないように、丁寧な仕事が求められます。
正面打ちタイプのなかでも、ポリカーボネート製の出寸法の調整できない固定金具が一番多く使用されているタイプです。。
屋根に合わせた出寸法の調整ができないので11㎜出、30㎜出、45㎜出、60㎜出が用意されています。
ポリカーボネート製の金具は高強度金具に分類されていて、1m以内ピッチでの施工が可能です。
ステンレス製やステンレスとポリカーボネートを組み合わせたものや、メッキ製の金具は60㎝以内ピッチでの施工になります。
ステンレスを使用した材料は金額的に高くなるのと、高強度金具ではなくなるので取付けピッチが60㎝以下になります。
勾配の付いているの破風板(鼻隠し)がある場合に使用する軒樋金具
今回は4寸勾配の設定にしているので、4寸勾配の金具を使います。
あと1つ大切なのは軒樋の水勾配です。
軒樋が水平でも水が溜まれば流れますが、基本的には1mにつき5mm程度の水勾配が付くように取付けます。
そうした場合、金具を取り付ける壁面に角度が付いていたら水上から水下へ取付けていくと金具がだんだん内側に入っていくようになります。
そうした場合に使用されるのが、出寸法が調整できる金具です。
こちらも同じくステンレスを使用した材料は金額的に高くなるのと、高強度金具ではなくなるので取付けピッチが60cm以下になります。
化粧垂木の場合に使用する軒樋金具
化粧垂木の場合、軒樋金具を取り付ける壁面がないので化粧垂木の側面に取り付ける必要があります。
出幅がそろっていないと、軒樋に雨水が入らなかったりスムーズに流れにくくなったりするため、施工技術が求められます。
化粧垂木用の軒樋金具にはポリカーボネートだけで構成された金具はありません。
板状の部分はポリカーボネートでは強度が出ないからだと思います。
そもそも和風の建物に透明のポリカーボーイトは似合いませんよね?
モルタル仕上げの場合に使用する軒樋金具
モルタル仕上げだとなぜ打込み金具かというと、一見きれいにモルタルを仕上げているように見えても手仕事なので、いくらか角度や厚みにばらつきがあります。
そのまま金具を取付けるとモルタルの仕上がりによって、軒樋が波打ったり角度がばらついたりしてしまいます。
打込み金具だと打込む位置や打込む深さで軒樋金具の位置を調整できるため、モルタル仕上げ面に位置を左右されません。
打込む釘の部分にも丸棒タイプの金具と角棒タイプの金具があります。
軒樋(のきとい)の金具のピッチ(設置する間隔)
積雪量が多い地域や風が強い地域は、より強度が求められるため、金具のピッチを狭くする必要があります。
金具のピッチを決める要素は、以下の通りです。
・軒樋の種類
・屋根の勾配
・住んでいる地域の積雪量
・住んでいる地域の風速
・建物の高さ
金具のピッチは最大でも1,000mm以内に設置するのが一般的です。
住んでいる地域の積雪量や風速次第では、450mm以内や300mm以内に制限される場合もあります。
住んでいる地域に適した金具のピッチで設置しないと、軒樋の変形や破損といった不具合が発生する可能性が高くなります。
環境に合わせた適切なピッチで金具を設置しましょう。
軒樋(のきとい)の金具を設置する際の注意点
・既存の穴に新しい金具を設置しない
・適切な勾配を付けて設置する
どちらも注意を怠ると、雨漏りや軒樋の不具合などにつながります。
それぞれ詳しく解説するので、ぜひご覧ください。
既存の穴に新しい金具を設置しない
既存の穴と新しい金具の間にすき間ができてしまうため、強度が下がってしまったり、すき間から雨水が浸入したりしてしまいます。
軒樋の金具を交換する際には、既存の穴にコーキング剤を充填して、穴を塞いでおきましょう。
コーキング剤は外壁や屋根のすき間を塞ぐための充填剤のことで、コーキング剤を充填しておくことで、外壁の気密性や防水性を保持できます。
既存の穴を放置して雨水などが入ってしまうと、雨漏りや腐食などの原因になります。
軒樋の金具を交換する場合は、コーキングの準備もしておきましょう。
適切な勾配をつけて設置する
集水器とは、軒樋と縦樋をつなぐパーツのことです。
軒樋から集水器に雨水が流れ、集水器から縦樋に流れた雨水が下に落ちて排水されます。
集水器に向かって必要な勾配がついていなければ、スムーズに排水できず、雨水があふれてしまうおそれがあります。
勾配をつけすぎた場合も、雨水が一気に集水器へ集まりあふれやすくなるので、注意が必要です。
軒樋の勾配の基準は、10mあたり30〜50mm程度と言われているので、基準を参考に適切な勾配をつけて設置しましょう。
勾配をつける際には、軒樋の金具を曲げて勾配をつけないようにご注意ください。
軒樋の金具を曲げると強度が下がるため、不具合の原因になってしまいます。
軒樋(のきとい)金具の設置をDIYでやるのはおすすめできない
軒樋は屋根の先端に取り付ける必要があるため、高所での作業となります。
高所での作業で、バランスを崩して転落すると、大怪我につながりかねません。
軒樋の金具は水がスムーズに流れるように、軒樋の勾配を考えて設置する技術が必要です。
適切な勾配で設置できないと、雨水がスムーズに流れません。
雨水がスムーズに流れないと、水があふれるだけでなく、軒樋への負荷が大きくなり、不具合が発生する可能性もあります。
不具合が発生してから施工業者に依頼すると、余分な費用がかかってしまいます。
手間や費用を考えると、最初から信頼できる施工業者に依頼するのがおすすめです。
落ち葉多い地域は軒樋(のきとい)の金具と合わせて落ち葉除けネットを取り付け
上の写真2枚はパナソニックのといカタログのものです。
似た製品で落ち葉止めもありますが、こちらは定期的にといの上に溜まった落ち葉を取り除かないと、といに水が入りにくくなります。
私たちがとい掃除をするのは慣れているので大丈夫ですが、お客様では危なくてなかなかできるものではありません。
山が近くにある地域や落ち葉が多い地域にお住まいの方は、落ち葉よけネットの取り付けをご検討ください。
軒樋(のきとい)の金具を適切に設置しよう
適切な金具を選べないと、強度が足りずに不具合を起こす可能性があります。
お住まいの地域の積雪量が多い、または風が強い場合は金具のピッチを調整する必要があります。
軒樋の金具を交換する際には、既存の穴を埋めたり軒樋の勾配をつけたりする必要があるのも注意点です。
軒樋の金具を交換する際には、ぜひ本記事を参考にして、適切に設置してください。
といに不安のある方は植田板金店へ是非お問い合わせください。
『とい無料調査』や『とい無料点検』におうかがいします。