瓦屋根の雨漏りが起こる原因とは？応急処置や修理方法も解説
「どうして瓦屋根が雨漏りしてしまうのだろう？」
「瓦屋根が雨漏りしたときはどのように修理すればいいのだろう？」
瓦屋根は耐久性が高い素材ではありますが、年数の経過とともにズレやひび割れなどにより雨漏りが起こる場合があります。
本記事では瓦屋根の雨漏りについて、以下の点を中心に解説します。
・瓦屋根が雨漏りする原因
・ 瓦屋根の雨漏りが起きた際の応急処置
・雨漏りした瓦屋根の主な修理方法
なぜ瓦屋根が雨漏りしてしまうのか、雨漏りが起きた際にどのような行動をすべきか解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
瓦屋根の雨漏りが起こる主な原因は下記のとおりです。
・瓦のズレや浮き、ヒビ割れ
・棟部分の漆喰のはがれ
・板金の劣化
・雨樋の劣化や詰まり
・防水シートの劣化
・葺き土の浸食
・コーキングの破損
それぞれの症状や対応方法についてお伝えしますので、瓦屋根の雨漏りにお困りの方はぜひ参考にしてください。
台風による強い風や地震の揺れ、飛来物の衝撃により、瓦がズレたり割れたりした部分から雨水が浸入し雨漏りにつながる場合があります。
瓦の下に敷かれている防水シートが機能していれば雨漏りの発生は防げますが、防水シートが劣化していると状態が悪化してしまいます。
瓦の本体のみが劣化している場合は部分的な補修だけで済むため、定期的に点検を受けてメンテナンスしておくのがおすすめです。
ただし下地の劣化が屋根全体に及んでいる場合は、既存の屋根を撤去して新しい屋根を取り付ける葺き替え（ふきかえ）が必要になります。
棟（むね）とは、屋根と屋根が重なる部分のことです。
瓦のすき間に詰め込まれている漆喰（しっくい）がはがれたり割れたりすると、雨水が浸入して雨漏りを引き起こす原因になります。
漆喰の劣化を放置すると奥に詰めている土にまで雨水が浸入し、棟ごと崩れてしまう危険性があります。
漆喰がはがれてしまったらなるべく早く劣化した漆喰を取り除き、新しいものを詰め直して補強しておきましょう。
棟と棟の間や壁と屋根のすき間に取り付けられている板金が劣化すると、穴があいて雨漏りが起こる場合があります。
特に屋根面が重なって谷になっている部分は雨水が多く流れ込むため雨漏りが起こりやすくなります。
瓦屋根に設置されている板金がサビていないか定期的にチェックし、必要に応じて交換しておくと安心です。
雨樋（あまどい）にひび割れやズレ、歪みなどが起こると雨水を上手く排出できなくなり、雨漏りを引き起こす場合があります。
雨水が直接外壁にかかったり軒裏に雨水が入り込んだりすることで、雨漏りが起こる可能性が高くなるからです。
雨樋が部分的に損傷している場合は補修し、劣化が進んでいる場合は交換するのがおすすめです。
また雨樋に落ち葉やゴミなどがたまると雨水が逆流し、建物の内部へ雨水が浸入してしまうので、定期的に掃除をしておきましょう。
屋根の下地となる野地板の上に敷かれている防水シートは、瓦のすき間から入り込んでくる雨水をキャッチし、軒先へ排水する効果を担っています。
防水シートの劣化により穴があいたり破れたりすると雨漏りが起きてしまいます。
瓦の上からでは防水シートの状態を確認できないので、瓦を一枚ずつはがしてチェックしなければいけません。
破損している箇所が限られている場合は部分的な補修で済みますが、劣化が進んでいる場合は全面張り替えが必要です。
瓦屋根を施工する際、土を敷き詰めて瓦を固定する土葺き（どぶき）工法が用いられている建物があります。
土葺き工法で作られた瓦屋根は年数が経つと土が流れ出し、雨漏りにつながる恐れがあります。
土の下に敷かれる杉皮や杮板は木材のため水を吸収しやすいため、腐食すると防水機能が落ちてしまうためです。
数十年前に建てられた建物は土葺きを採用しているものもあるので、自宅の瓦屋根はどの工法が使われたか確認してみましょう。
葺き土が浸食している場合は瓦をはがして葺き土を撤去し、新しい野地板と防水シートを設置してから瓦を乗せ換える必要があります。
外壁と屋根のすき間を埋めるコーキングが風や雨などの影響で破損してしまうと、そこから雨水が浸入する場合があります。
コーキングが破損している場合は、既存のコーキングを撤去して新しいものを取り付ければ症状を改善できます。
コーキングの破損に気付いたら雨漏りが起きる前に早急に修理を依頼しておきましょう。
瓦屋根の雨漏りが起きた際の、被害を抑える応急処置の仕方は以下のとおりです。
・雨漏りが起きている場所を確認する
・被害を抑えるための処置を実施する
それぞれの対処方法についてお伝えしますので、すでに雨漏りが起きている方、事前に対処法を知りたい方は参考にしてみてください。
瓦屋根の雨漏りが起きた際は、まずはどの場所から雨漏りが起きているかを特定しておきましょう。
屋根や壁、ベランダあるいは窓をチェックし、どこから水が漏れ出しているか確認してみてください。
雨漏りが起きている箇所を探すときに屋根に登って作業するのは大変危険なので、目視で確認しましょう。
瓦屋根の雨漏りが起きた場合は被害を拡大させないよう、できる範囲で応急処置をしておきましょう。
雨漏りが起きているところにバケツを置き、新聞紙やレジャーシートを敷いておくと床が濡れるのを防げます。
また家具や家電を濡れない場所に移動しておくことも被害の抑制につながります。
窓枠やサッシのすき間から雨水が入り込んでいる場合は、カーテンを取り外して雑巾などで水を吸い取っておきましょう。
雨漏りした瓦屋根の主な修理方法は以下のとおりです。
・瓦屋根などの部分補修
・瓦屋根の塗装
・瓦屋根の葺き替え
それぞれの修理方法について具体的に解説します。
屋根の下地や防水シートは劣化しておらず、瓦のズレやひび割れのみなど症状が軽い場合は、コーキング剤で補修できます。
防水シートの一部に穴があいていたり破れていたりする場合は、既存の下葺き材の上に重ね張りすることで耐久性を高められます。
漆喰がはがれた場合は詰め直しを行い、雨樋の一部が破損している場合は補修しておきましょう。
屋根瓦や板金は一枚ずつ交換することも可能なので、早めにメンテナンスして雨漏りの予防をしておくのがおすすめです。
瓦屋根のうち特にセメント瓦は耐水性が低いため、定期的に表面を塗装して耐水性を高める必要があります。
塗装のはがれを放置すると屋根の下地部分へ水が入り込みやすくなり、強度が落ちて少しの衝撃でも割れやすくなってしまいます。
瓦の表面が色あせてきたりはがれが目立ってきたりした場合は、専門業者に塗装を依頼しておきましょう。
屋根材だけでなく下地材も劣化している場合は、既存の屋根を撤去し新しい屋根を取り付ける「葺き替え」が必要です。
葺き替えを行う場合は屋根材の他に防水シートや野地板も交換するため、瓦屋根の耐久性をより高められます。
土葺き工法で施工された瓦屋根を葺き替える場合は、建物の耐震性を保つために軽い素材でできた屋根材を取り付けるのがおすすめです。
なお瓦をすべて屋根から外し下地や漆喰などを補修した後、再び瓦を乗せ直す葺き直しという方法もあります。
ただ下地が傷んでいると瓦も劣化している場合が多いため、すべて交換するケースが多いです。
屋根の雨漏り修理にはどれくらいの時間がかかるのか、下記の流れで解説します。
・1日から2週間程度が目安
・時期や状況でも必要な時間は変わるので注意
それぞれ解説していきます。
瓦屋根の雨漏り修理にかかる時間は、1日から2週間程度が目安です。
ただし、工事の内容や雨漏りの規模によって大きく異なるので注意が必要です。
また、業者によっても必要な時間は異なります。
一定の期間内に工事を終わらせてほしいなど、事情がある場合は必ず工事を担当する業者に確認してみてください。
瓦屋根の雨漏り修理にかかる時間は、1日から2週間程度が目安ではありますが、さらに時間が必要な場合もあるのでご注意ください。
たとえば梅雨の時期や台風の後など雨漏り工事の依頼が入りやすいタイミングでは、すぐに工事をしてもらえない可能性があります。
時期などによってはかなり長い時間がかかる可能性があるということを認識しておきましょう。
瓦屋根は屋根材・ルーフィング・野地板・垂木・棟で構成されています。
屋根材は屋根の一番外側の部分で瓦などに相当します。
一番雨風にさらされる部分が屋根材です。
ルーフィングは防水の役割を持つ素材で防水紙とも呼ばれます。
瓦だけではすべての雨水を防ぐことができないため、ルーフィングが必要になります。
野地板はルーフィングの下に敷かれる板のことです。
垂木は野地板を支える役割の素材です。
棟は、屋根の頭頂部などの部分で屋根全体を支えています。
屋根はこれらの建材が一体となって作られています。
瓦屋根には下記のような、複数の種類があります。
・コンクリート瓦
・陶器瓦
・素焼き瓦
・セメント瓦
各瓦の特徴を解説していきます。
コンクリート瓦は、モルニル瓦とも呼ばれます。
ヨーロッパ発祥の瓦で、セメントと川砂を混ぜて作られている屋根材です。
セメントで作られているため、セメント瓦と似ています。
見分け方としては、モルニル瓦は切り口がギザギザしているという点が挙げられます。
陶器瓦は、釉薬瓦とも呼ばれます。
粘土で作った瓦に釉薬という薬剤を塗布して焼いたものです。
釉薬を塗っているため瓦に艶が出るというメリットがあるほか、瓦自体が水を通しにくいという点も魅力です。
また釉薬で塗装をしてあるため、メンテナンスが楽というのも利点となっています。
名前の通り、釉薬などの薬剤をつけずに粘土をそのまま焼いて作った瓦です。
素朴な見た目が魅力となっています。
釉薬などを付けないため軽く、耐久性にも優れています。
セメント・砂・水を材料として作った瓦です。
セメント瓦は焼かずに作れるという特徴があり、製造途中でうまく作れず廃棄する瓦が出にくいので、安価なのが魅力です。
ただし、セメント瓦は近年では新しく使われることはほとんどありません。
耐久性や苔の生えやすさなどで陶器瓦よりも劣るからです。
瓦屋根の修理費用を決める要素は次の通りです。
・修理の範囲
・使用する瓦の値段
・工事場所の環境
当然ではありますが、修理をする範囲が広いとそれだけ瓦屋根修理の費用も高額になります。
瓦が破損している場合は瓦の交換も必要です。
瓦屋根の場合は使用する瓦が多いので、高価な瓦をたくさん交換する場合は費用が高額になります。
工事を行う家の環境によっても瓦屋根修理の費用は変わります。
工事の機材を入れにくい場所や工事が難しい場所の場合は、費用が通常よりも加算される可能性があることを覚えておきましょう。
瓦屋根の雨漏り修理で費用を安く抑えるために知っておきたいことは以下の3点です。
・自然災害での雨漏りなら火災保険が使える可能性がある
・該当する場合は補助金、助成金を活用する
・悪徳な業者には絶対に依頼しない
自然災害が原因であれば、火災保険を適用できる可能性があります。
詳しくは火災保険の契約書を確認したり保険会社に確認してみたりしましょう。
自治体によっては屋根の雨漏り修理で利用できる補助金・助成金を設けているところもあります。
お住まいの自治体窓口や地元密着型の修理業者に相談してみるとよいでしょう。
ただし業者によっては、法外な修理費用を請求したり修理が不完全であったりする、いわゆる「悪徳業者」も存在します。
押し売りをしてきたり異常な値引きを提案してきたりする業者には注意しましょう。
瓦屋根の雨漏り修理で業者を選ぶ際は、次のポイントに注目してみてください。
・地域密着の業者
・過去の施工実績数が多い業者
・口コミのよい業者
それぞれのポイントを解説します。
地域密着の業者はその土地の風土や気候にくわしいのでおすすめです。
また地域密着で仕事を続けてきた業者は、それだけその地域に住んでいる人から仕事を依頼されてきたということです。
地域密着で近くに店舗があるなら、トラブルの時もすぐに駆けつけてもらいやすいので安心感もあります。
施工実績が多い業者は、さまざまな屋根修理に対応してきたという証です。
特に難しい工事が予想される場合は、場数を踏んできた業者の方が安心して依頼ができます。
近年では業者が過去の実績についてホームページなどで公開している場合もあるので、ぜひ確認してみてください。
口コミがよいということは実際に依頼した人が満足しているという証です。
今はインターネットで口コミを確認したり、業者がホームページで公開している口コミを閲覧できたりする場合もあります。
まずはネットの情報を検索してみるのが手軽でおすすめです。
可能であれば知り合いで瓦屋根の雨漏り修理を行った人がいないか、いる場合はどのような業者に依頼して満足度はどうだったか聞いてみるのもよいでしょう。
屋根やさん（運営：植田板金店）が手掛けた、瓦屋根の施工事例を3つご紹介します。
瓦屋根の雨漏りでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
倉敷市でモニエル瓦をスーパーガルテクトに葺き替えた事例
カビやコケなどによる老朽化が進んだため葺き替えを決断した事例です。
経年劣化による色あせもありましたが、工事をして見事に美しく生まれ変わりました。
赤磐市で老朽化したモニエル瓦をルーガ雅に葺き替えた事例
塗膜の劣化からコケが付着し、経年劣化によって退色が進んだため葺き替えをした事例です。
モニエル瓦をルーガ雅に葺き替えたことで、黒色が美しい和モダンな家になりました。
岡山市南区でモニエル瓦からルーガ鉄平に葺き替えた事例
雨漏りはしていないがコケやカビが繁殖しているという状態でした。
今後のメンテナンスや建物の寿命を考えて葺き替えをした事例です。
瓦屋根の雨漏りに関してよくある質問は以下の通りです。
・瓦屋根は雨漏りしやすい？
・瓦が割れたら雨漏りする？
各質問について解説していきます。
屋根瓦の中でも、土を敷いて固定をした土葺き工法の建物は、特に経年劣化しやすい傾向にあります。
土葺き工法の屋根は時間が経つと土が流れ出すことがあるからです。
瓦屋根すべてが雨漏りしやすいという訳ではありませんが、雨漏りしやすいものもあることを知っておきましょう。
必ずしも瓦が1枚でも割れたら雨漏りするという訳ではありません。
しかし瓦が割れるとそこから雨水が浸入する可能性があるので、瓦が割れたら雨漏りすることはあります。
瓦が割れているのを発見したら業者に点検を依頼しましょう。
瓦屋根が雨漏りした際、応急処置を自分で行うことは非常に大切です。
雨漏りがしている箇所にバケツを設置したり、雨漏りで濡れた床を拭いたりはぜひ行いましょう。
しかし屋根の上に登って雨漏り箇所の修繕をDIYで行うような行為は非常に危険ですので、絶対におすすめしません。
大きなケガなどにつながる恐れも十分にあります。
DIYが得意という方でも絶対にしないでください。
雨漏り箇所の修繕は業者に依頼しましょう。
瓦屋根が雨漏りしたときはDIYではなくプロにまかせよう
