陸屋根はなぜ雨漏りしやすい？防水工事の種類や業者の選び方まで解説
陸屋根は雨漏りしやすいと聞き、不安になった方もいるのではないでしょうか。
陸屋根の家を建てる予定の方のなかには、他の屋根に変えるべきなのか悩んでいる方もいるかもしれません。
本記事では、陸屋根が雨漏りしやすい理由や防水工事について解説します。
陸屋根の雨漏りを防ぐには防水工事が重要です。
雨漏り修理を依頼する業者の選び方も紹介するので、すでに雨漏りが発生している方はぜひ参考にしてください。
陸屋根は「りくやね」「ろくやね」と読み、傾斜がない屋根のことを指します。
「平屋根」「フラット屋根」と呼ばれる場合もあり、デザイン性が高く生活スペースとしても活用できるメリットがあります。
反面、雨漏りしやすい点がデメリットです。
一般的な三角形の屋根は、勾配によって雨水が屋根材に留まりにくくなっています。
しかし傾斜がない陸屋根は、一般的な屋根に比べて屋根材が雨水にさらされる時間が長くなり、屋根表面が劣化しやすく雨漏りが発生しやすいです。
陸屋根にも雨水が貯まらないよう排水溝などの設備があり、効率的に排水ができるようわずかな勾配もつけられています。
それでも、一般的な屋根に比べると排水の効率が落ちるのは避けられません。
特に梅雨や台風で大量の雨が降ると、排水しきれなかった雨水が原因で雨漏りにつながるケースもあります。
陸屋根で雨漏りが発生する主な原因は以下のようなものです。
・防水層が劣化する
・パラペットが劣化する
・排水溝が詰まっている
・建物そのものに異常がある
それぞれの詳細と補修方法を解説します。
防水層とは、防水効果のあるシートや塗膜で形成された層のことです。
経年劣化により防水層に不具合が生じれば、建物に直接雨水などが当たり雨漏りにつながってしまいます。
防水層が劣化すると次のような症状が現れます。
・亀裂や膨れ
・シートの剥がれ、亀裂、破れ
・目地の劣化
・雑草
劣化症状が現れている場合、なにかしらの問題が発生している可能性があるため、業者に調査してもらうとよいでしょう。
屋根は紫外線や雨風などにさらされるため、防水層を劣化させないための予防も大切です。
防水層にトップコートを塗ると、劣化の軽減が期待できます。
部分的な亀裂や膨れ、破れであれば不具合のある箇所周辺だけの補修も可能です。
しかし劣化が屋根全体まで進んでいる場合は、大がかりな補修が必要になります。
パラペットとは陸屋根の周りを囲っている壁を指し、雨水をせき止める役割があります。
パラペットと防水層の繋ぎ目は水切り金具が設置されたり、シーリングで埋められたりしています。
パラペットの金具のずれ・変形、シーリングの亀裂・剥がれが雨水の浸入箇所となり、雨漏りにつながる可能性があります。
防水層と同様、劣化を防ぐための定期的なメンテナンスが必要です。
排水溝には枝や葉っぱなども流れてくるため詰まる可能性があります。
詰まったまま放置しておくと、雨が降っても適切な排出ができなくなってしまうでしょう。
排水溝から雨水が排出されないと、陸屋根に貯まって雨漏りにつながります。
排水溝は定期的に掃除をして、雨水が排水される状態を保つ必要があります。
防水層やパラペット、排水溝に劣化などの問題がない場合、建物そのものに雨漏りの原因があるかもしれません。
陸屋根には緩やかな勾配がありますが、不足していると水はけが悪く雨漏りの原因になります。
防水層の施工に不備があった可能性も考えられます。
不具合を解消するために、勾配をつけるためのリフォームや防水工事が必要です。
陸屋根を雨漏りさせないためには、次のような防水工事が必須です。
・シート防水
・ウレタン防水
・FRP防水
・アスファルト防水
工事の方法や防水層の性質、耐久性、メンテナンス方法が異なります。
施工場所や必要な防水機能に合わせて適切な方法を選ぶ必要があります。
防水性を備えたシートを陸屋根の床面に貼りつける方法が「シート防水」で、耐用年数は約10～20年です。
メリットは施工期間が短く、耐用年数が比較的長い点です。
デメリットは凹凸のある下地には向かない点や、シート同士の継ぎ目や立ち上がり部分が雨水の浸入箇所となりやすい点です。
防水シートは大きさが決まっていて、敷き詰めていくとどうしてもシート同士の繋ぎ目ができます。
繋ぎ目の処理が雑だと雨漏りにつながるため施工には技術力が必要です。
特に、複雑な形状の屋根の場合は難易度が上がります。
ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を作る方法で、耐用年数は約10～14年です。
メリットは比較的安価な費用で施工ができる点や、シートでは対応できない形状の床面にも施工できる点、リフォーム時には既存防水層の撤去や処分がいらない点が挙げられます。
デメリットは施工に時間がかかり、塗膜を保護するためのトップコートを数年ごとに塗り替える必要があることなどです。
塗り方にムラがあると防水効果を発揮できないため施工には技術力や経験が必要になります。
床面にガラスマットを敷き詰め、その上から液状のポリエステル樹脂を塗布する方法が「FPR防水」で、耐用年数は約10～20年です。
メリットは軽量で建物に負担がかからない点、耐用年数が比較的長く強度がある点です。
施工期間が短くシートでは対応できない形状の床面にも施工できます。
反面、施工価格が高く素材が硬く衝撃でヒビが入りやすい点がデメリットです。
ヒビが入りやすい素材のため保護するためのトップコートを塗布する必要があり、定期的な塗り直しも不可欠です。
劣化が内部まで進んだ場合は、一度塗膜を取り除いて下地から施工し直す必要があります。
よってメンテナンス費用も割高になりやすい点に注意が必要です。
アスファルト防水の耐用年数は約13～25年です。
メリットは耐用年数が比較的長く、防水性能が高い点です。
しかし、施工価格が高く防水材が重い点がデメリットになります。
アスファルト防水を施工すると屋根が重くなるため、一般住宅には向かない方法です。
修理費用を抑えるために、雨漏りをDIYで修理しようと考える人もいます。
雨漏りに対する応急処置であればDIYも不可能ではありません。
しかし、雨漏り修理は専門的な知識や経験が必要になります。
経験のある専門業者でも確実な修理が難しいケースもあるほどです。
DIYで修理しようとした結果、かえって雨漏りを悪化させる可能性もあります。
最後は専門業者に依頼し、DIYで補修した際の防水材を撤去するための費用がかかったケースもあります。
雨漏りは根本的に解決しないと再発の可能性もあるため、はじめから専門業者に依頼する方が安心です。
陸屋根の雨漏りをDIYで修理するのはおすすめしませんが、安全な範囲でのメンテナンスは普段からしておくことをおすすめします。
メンテナンスをきちんとしておくことで、雨漏りを防ぐことができる可能性があります。
個人でも比較的簡単にできるメンテナンス方法としては以下の通りです。
・排水溝の掃除をする
・異常を感じたら業者に確認を依頼する
排水溝を掃除することで雨漏りを防げます。
特に排水溝にゴミが溜まると雨漏りの原因になる可能性があるので、台風の時期などは定期的に排水溝の掃除や確認をするのがおすすめです。
また、陸屋根で少しでも異常を感じたら業者に確認を依頼するのもよいでしょう。
パラペットや笠木のシーズニングなど、陸屋根には雨漏りを防ぐために重要な箇所があるためです。
早めに相談すると陸屋根の雨漏りを未然に防ぐことができる可能性があります。
適度にメンテナンスを行いましょう。
陸屋根の雨漏り修理で費用を決める要素としては、以下のようなものがあります。
・劣化の具合
・屋根の広さ
・修理の方法
それぞれの要素について解説していきます。
雨漏りによって陸屋根がどの程度劣化しているかは、修理費用を決めるうえで非常に重要な要素です。
雨漏りによって屋根の建材や建物の内部の建材も腐っていたら、その部分も取り替える必要があるので、修理費用が高額になります。
雨漏りの被害が少ないうちに修理を依頼した方が、費用が安く抑えられる可能性があります。
劣化の具合が浅いうちに修理を依頼するのがおすすめです。
陸屋根の広さや修理をする範囲の広さも修理費用を決めるための要素となります。
範囲が広いほど工事の手間がかかり、かつ建材も多く必要となるため費用が高額になる可能性があります。
屋根の面積の広さも雨漏り修理の費用を決める要因です。
どのような方法で修理を行うかも、陸屋根の修理費用にかかわってきます。
たとえば屋根の塗装を行うだけだったり下地の補修を行うだけだったりすれば修理費用は比較的少ないです。
一方で屋根材を張り替えるような手間がかかる工事になると修理費用も高くなってしまいます。
修理費用が気になるのであれば、どのような方法で修理を行うのか業者と相談してみましょう。
陸屋根の雨漏り修理費用を抑えるためのコツとして、以下の4点があります。
・火災保険が利用可能か確認する
・補助金、助成金を活用できないか検討する
・できるだけ早く修理を依頼する
・信頼できる業者に依頼する
それぞれの詳細を解説していきます。
陸屋根の雨漏りが自然災害によるものであれば、火災保険が利用できる可能性があります。
たとえば台風や豪雨などの自然災害の影響で雨漏りが発生した場合などに火災保険が利用可能なことがあります。
ただし、経年劣化で発生した雨漏りでは火災保険は利用できないのでご注意ください。
もしも火災保険が利用できれば、修理にかかる実費を大幅に抑えられる可能性があります。
火災保険が利用可能な場合は、適用される状態であるか確認をしてみるとよいです。
お住まいの自治体によっては、屋根の修理やリフォームに補助金・助成金を出しているところがあります。
適用条件は各自治体の制度ごとに異なりますが、場合によっては陸屋根の修理でも補助金・助成金を申請できる可能性があります。
詳しくは各自治体の窓口に相談してみましょう。
また地元に密着している屋根の修理業者であれば、補助金・助成金に詳しい場合もあるので相談してみるのもおすすめです。
雨漏りの修理はできるだけ早く依頼をするのがおすすめです。
時間が経つほど雨漏りの範囲が広がるなどする恐れがあるからです。
また経年劣化以外にも、雨漏りの被害を放置して大雨や台風などが起こった場合は、家の広い範囲に被害が広がる恐れがあります。
修理をしたいが今はお金がない場合はローンを組む、という方法もあります。
必ずしも費用が安く抑えられるとはいえませんが、ローンを組んで早めに修理をした方が必要なお金の総額は抑えられる場合もあるでしょう。
世の中には悪徳な業者もいるため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
修理が不完全であったり、最初は安い費用を提示したのに最終的には高額な費用を請求したりというような業者もいます。
また火災保険を不正に利用しようとするような業者もいるため注意が必要です。
陸屋根から雨漏りしている場合、修理を依頼する業者は以下のポイントを参考に選びましょう。
・雨漏り修理の実績があるか
・アフターフォローがあるか
・口コミや評判が良いか
・保証を受けられるか
それぞれ詳細を解説します。
雨漏り修理の実績が豊富にあれば、状態に応じて適切な工法を選べます。
特に、防水工事の施工実績があるか確認すると安心です。
施工実績を公表していない業者は、本当に依頼しても大丈夫かどうか見極めにくいです。
施工実績は、信頼できる業者か判断する材料にもなります。
実際に施工してもらった方のリアルな評判やネットの口コミも参考になります。
雨漏りの原因を確実に特定するのは、専門業者でも難しいです。
原因が複数ある場合もあり、1か所修理しただけでは解決しない場合もあります。
雨漏りが再発した場合に対処してくれるかどうか、アフターフォローについても確認しましょう。
保証期間が何年なのかをはっきりさせて、保証書は書面を発行してもらうと安心です。
依頼を検討している業者の口コミや評判が良いか、事前に確認しておきましょう。
口コミや評判がかならず正しいとは限りませんが、依頼するかどうかを考える時の目安にはなるはずです。
手軽に調べるのであれば、インターネットで口コミを調べてみるのがおすすめです。
Googleマップや評判まとめサイトに口コミが掲載されている可能性があります。
業者によっては自社のホームページで「お客様の声」を紹介しているところもあります。
可能であれば知り合いに最近屋根の修理を行ったばかりの人がいないか探してみるのも良いでしょう。
もし屋根の修理を行った方がいれば、どのような業者に依頼したか、施工後のクオリティはどう感じているか、実際に聞いてみるのが確実です。
雨漏りは業者に依頼すればほぼ確実に直せますが、それでもまれに雨漏りが再発する場合があります。
・屋根で作業を行っていたとき、他の正常な屋根材を傷つけてしまった
・修理した箇所は直ったが、他の箇所から雨漏りが発生してしまった
・そもそも修理した箇所が完全に直っていなかった
このような理由から、雨漏りが再発してしまう場合があるのです。
業者側の不手際が原因で雨漏りが再発した場合、保証書があれば一定期間内は無料で再度修理を依頼できる可能性があります。
たとえば屋根やさん（運営：植田板金店）では「雨漏り10年保証」を行っており、10年以内に施工が原因で雨漏りが発生した場合は無料で補修・修復工事を実施いたします。
修理後は保証書もお渡ししますのでご安心ください。
なお保証の対象外となる場合もございますので、詳しくは
こちらをご確認ください。
陸屋根の雨漏り修理関連でよくある質問は次の通りです。
・陸屋根は雨漏りしやすい？
・コンクリートの陸屋根でも雨漏りはする？
・陸屋根で雨漏りがしたらどんな応急処置をすべき？
それぞれの質問に回答していきます。
陸屋根はフラットな形状が特徴なので雨水が貯まりやすいです。
雨水が貯まり安いので雨漏りしやすい傾向にあります。
通常は貯まった雨水は太陽の光などで乾いてなくなりますが、梅雨など雨が多い場合は雨水が貯まってしまうこともあるのです。
雨水が貯まった状態が続くと、屋根材が劣化して雨漏りにつながることも考えられます。
コンクリートの陸屋根であっても雨漏りはすることがあります。
原因はコンクリートのひび割れやコーキングの劣化、屋根防水の劣化などです。
劣化した場合は、業者に依頼して適切なメンテナンスをしてもらう必要があります。
コンクリートの陸屋根であっても雨漏りがする可能性があるのでご注意ください。
雨漏りをしている箇所にバケツを置く、床が塗れてしまった場合はふき取るなどの応急処置を行ってください。
室内などの劣化範囲を広げないことが重要です。
ただし屋根の上に登って応急処置をするのは危険なので、絶対にしないでください。
屋根に登る修理については必ずプロの業者に任せましょう。
