瓦屋根の修理方法や補修が必要な状態とは?費用を抑えるコツも紹介
「瓦屋根の修理方法について教えてほしい」「瓦屋根の修理が必要なタイミングは?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
瓦屋根は年数が経過すると劣化が進行してしまいます。
本記事では瓦屋根の修理方法や劣化状態、修理タイミングについて解説します。
修理費用を抑える方法や修理時の注意点についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
修理せずに瓦の破損を放置すると家屋全体の劣化につながる
瓦の破損を放置すると家屋全体の劣化につながるおそれがあるため、早めに修理するのがおすすめです。
たとえば瓦にヒビが入っても、雨漏りしていなければ放置する人もいます。
しかし瓦がひび割れると雨水が浸入し、瓦の下の防水シートへ通ってしまいかねません。
現在問題がなくても、今後雨漏りが発生したり内部で野地板が腐って強度が下がったりするおそれもあります。
瓦のヒビを放置して屋根の下地全体が腐ってしまうと修理の規模が大きくなり、修理費用も高額になってしまいます。
万が一、家屋の骨組みである垂木や梁などが雨水で腐食すると、家屋全体の強度が落ちてしまうため早めの修理が重要です。
瓦の部分補修のみであれば、費用はそこまで高額にはなりません。
軽微であっても瓦の破損や劣化を確認したら、早めに修理を依頼するのがおすすめです。
瓦屋根の修理方法は以下の通りです。
・部分修理
・葺き替え
・葺き直し
修理方法によって工期や工事内容が大きく異なります。
1つずつ順番に見ていきましょう。
部分修理とは、屋根の一部を修理する方法のことです。
下地の屋根板や棟瓦などの細かな部分まで対応できる修理方法です。
狭い修理範囲であっても部分修理は対応可能です。
必要のない範囲は修理しないため、コストも最低限に抑えられます。
しかし、屋根全体の問題が解決されるわけではありません。
部分的に修理しても他の箇所で修理が必要になることもあります。
屋根全体の修理は「葺き替え」「葺き直し」を採用しましょう。
葺き替えは、瓦屋根全体を新しい屋根に変える修理方法です。
瓦に乗っている野地板やルーフィングも同時に交換することがあります。
葺き替えは屋根修理のなかでも大きな工事になるため、屋根全体の劣化や雨漏りを解消できます。
屋根のデザインも一新できることから、住宅の雰囲気を変えたい方にもおすすめです。
しかし葺き替えは屋根全体を新しい屋根に変える必要があるためコストが高額になります。
コストを抑えたい方には不向きな修理方法となるでしょう。
葺き直しとは、瓦屋根の下地部分のみを修理する方法のことです。
屋根瓦を一度取り外して下地部分を補修・交換するだけなので、元の屋根はそのまま使用します。
元の屋根を再び利用するため屋根材の購入にかかる費用が安価です。
しかし屋根を変える修理方法ではないため屋根の見た目が変わりません。
屋根の見た目を変えたいといった方には葺き替えをおすすめします。
瓦屋根の修理が必要な状態は以下の7つです。
・瓦屋根の割れ
・クギの浮き
・野地板の痛みや腐食
・防水シートの劣化
・棟瓦のズレ
・漆喰の劣化
・雨漏り
劣化状態を知っておくことで、瓦屋根の状態悪化を未然に防げます。
1つずつ順番にご紹介します。
瓦屋根の割れは自然災害や錆び、経年劣化が原因で発生します。
瓦屋根の割れが起こると、雨漏りが起こりやすくなります。
雨漏りが発生してから瓦屋根に割れが発生していることに気づく事も少なくはありません。
瓦屋根の割れは、屋根の交換またはコーキング修理にて改善できます。
放置しておくと雨漏りだけでなく住宅内部まで被害が出てしまうので、異変を感じ次第すぐに修理を依頼しましょう。
クギの浮きは、自然災害や経年劣化が原因で発生します。
瓦屋根はクギで1本ずつ固定していくため、クギが浮いてきたり外れたりすると屋根のトラブルが発生します。
クギの浮きを解消するためには浮いたクギを抜き、新たなクギを瓦屋根に固定しなくてはいけません。
費用は交換するクギの本数や使用されている素材によって大きく異なります。
クギの浮きが小規模の範囲に収まっていれば費用も抑えられます。
野地板の痛みや腐食は、雨水の浸入により発生します。
野地板は木材で構成されているため、雨水が染みこんでしまうと少しずつ腐ります。
野地板の痛みや腐食は、防水シートを外して野地板を交換しなくてはいけません。
部分修理または葺き替えが必要になるため、交換が必要な範囲に応じて修理方法を検討しましょう。
防水シートは野地板と瓦の間に敷かれています。
雨水の浸入を防ぐ役割を担っており建物には欠かせません。
防水シートには寿命があります。
寿命が近づけば防水シートに割れや破れが発生しやすくなります。
防水シートに割れや破れが発生すると、室内に雨水が浸入してしまうのです。
棟瓦のズレは地震や強風が原因で発生します。
棟瓦は屋根の中心となるため、ズレが発生した場合は棟の取り直しが必要になります。
棟瓦が大きくズレてしまうと雨漏りが発生するため早期修理が必要です。
とはいえ棟瓦のズレは簡単に確認できません。
室内への影響が発生してから気づくことが多いため、雨漏りを引き起こしているのであれば棟瓦のズレを疑いましょう。
漆喰の劣化は自然災害や経年劣化により発生します。
漆喰の劣化を見つける方法は以下の通りです。
・瓦屋根の上に白い塊が乗っている
・漆喰周辺から泥が発生している
目視で確認もできるため、不具合を確認したら修理を依頼しましょう。
漆喰の劣化を放置しておくと屋根が変形します。
屋根交換になるため大きな工事が必要です。
雨漏りは瓦屋根の割れや棟瓦のズレなどにより発生します。
室内に大きな被害をもたらすため、すぐに修理が必要になります。
とはいえ修理方法は複数あるので、瓦の状態を確認し最適な方法を選択しましょう。
瓦屋根の適切な修理タイミングは瓦屋根の劣化が進んでいるときです。
とはいえ、簡単に屋根が劣化しているかどうかを判断することはできません。
瓦屋根の耐用年数は20〜30年ほどです。
20〜30年ほどを目安に修理や点検を依頼し、屋根の劣化状態についても都度確認しておくと良いでしょう。
「瓦の塗装の剥がれや色あせ」「瓦のヒビ割れや破損」「瓦のズレ」「漆喰の割れや崩れ」など目に見えて分かる劣化状態を見逃さないようにしましょう。
瓦屋根の修理費用が変動する要素として以下の3点が挙げられます。
・修理を行う屋根の面積
・修理の内容
・現場の環境
変動する要素を把握しておくと、上手に費用を節約することも可能です。
それぞれ解説するので、ぜひご確認ください。
修理を行う屋根の面積が広ければ広いほど、その分費用も高くなります。
たとえばひび割れた一部の瓦だけの修理であれば、比較的安価で修理が可能です。
しかし屋根全体の修理となると、費用は高額になってしまいます。
修理費用を節約するなら破損が軽微なうちに行い、破損や劣化が屋根全体に広がらないようにしましょう。
修理の内容も修理費用に影響を与えます。
瓦の一部を交換するだけなのか、新しい屋根材に葺き替えるのか、下地の交換も必要なのかなど、作業が増えるほど高額になります。
修理費用を抑えるなら、作業内容が少ないうちに直しておくのがおすすめです。
現場の環境によっては修理費用が高くなってしまいます。
たとえば足場の設置が必要、自動車の乗り入れが困難、建物が3階以上などの特殊な事情がある場合は費用が高額になりがちです。
必要な資材や作業が増えるため、その分費用がかさんでしまいます。
現場の環境によっては修理費用が高くなることを認識しておきましょう。
瓦屋根の修理費用を抑えるコツは以下の2つです。
・火災保険を利用する
・各都道府県の補助金を活用する
・外壁リフォームと同時に施工する
・一部だけを修理する
それぞれ解説するので、ぜひご覧ください。
瓦屋根の場合、火災保険の補償対象になれば修理費用を保険金にて補填できます。
とはいえ、火災保険を利用するためには被害の原因や条件といった制約が設けられています。
事前に保険会社や依頼先の業者に火災保険を受けられるかどうかの確認を行いましょう。
各都道府県の補助金を活用することで修理費用を抑えられる場合があります。
各都道府県によって瓦屋根の修理費用に充てられる補助金は異なるため、事前に確認しておきましょう。
瓦屋根と外壁のリフォームを同時に施工することで総合的な費用を節約できます。
瓦屋根の修理は安全のために必ず足場を組みます。
足場設置にも費用がかかるため、外壁塗装などと同じタイミングで工事をするほうが足場の設置費用を節約できます。
足場設置の費用は屋根工事でも外壁工事でも、必要な費用は大きく変わりません。
屋根と外壁を同時に施工すると、一度に必要な金額は大きくなりますが、別々に施工するよりも足場設置分の費用が抑えられます。
同時に施工することで総合的に見ると工期も抑えられ、人件費も抑えられます。
金銭的な負担は決して軽くはありません。
しかし一度に費用を負担できるのであれば、屋根と外壁の同時施工を検討するのがおすすめです。
一度に支払う費用を抑えたいなら一部だけを修理するのも1つの方法です。
瓦屋根の工事は一部だけの修理に対応している業者も多くあります。
一部だけの修理だと、一度に必要となる費用を抑えることが可能です。
ただし一部のみの修理は屋根全体を工事するよりは割高になり、何度も部分修理を行っていると長期的に見たときに支払う金額が多くなります。
もし修理していない部分が劣化していると雨漏りなどの被害が拡大し、工事をやり直す必要も出てきます。
メリットとデメリットをよく検討し、総合的に判断するのがおすすめです。
瓦屋根修理の施工事例として、以下3つの例を紹介します。
・モニエル瓦をルーガ鉄平に葺き替えた事例
・老朽化したモニエル瓦をルーガ雅に葺き替えた事例
・モニエル瓦からスーパーガルテクトへ葺き替えた事例
それぞれ工事前の状況や工事内容などを解説するので、ぜひ参考にしてください。
モニエル瓦をルーガ鉄平に葺き替えた事例です。
ルーガ鉄平は鉄平石の素材感や風合いを再現しながら、軽量化を実現した屋根材です。
工事前の調査では雨漏りは発生していませんが、屋根にカビやコケが繁殖している状態でした。
今後のメンテナンスや建物の寿命を考慮し、屋根の葺き替え工事と外壁塗装もあわせて行うことになりました。
工事後には古びた印象がなくなり、美しくモダンな見た目に一変しています。
外壁塗装も行っているので新築のような印象です。
モニエル瓦をルーガ雅に葺き替えた事例です。
ルーガ雅は、瓦に近い見た目を保ちながら軽量化された屋根材です。
工事前の調査では全体的にモニエル瓦の表面の塗膜が劣化し、コケの付着や退色も進んだ状態でした。
そのため老朽化が進んだモニエル瓦の葺き替えをご提案させていただき、ルーガ雅に葺き替えることになりました。
工事の結果、コケで黄ばんだ印象だった屋根がスッキリときれいになっています。
ブラックを選んだことでモダンな印象も加わりました。
モニエル瓦からスーパーガルテクトへ葺き替えた事例です。
スーパーガルテクトとは、軽量で遮熱性・断熱性に優れた金属屋根材のことです。
工事前の調査では、全体的に表面の塗膜の劣化からカビやコケが付着するなど老朽化が進んでおり、退色も見られました。
調査を踏まえて屋根の葺き替え工事を提案させていただき、施工することになりました。
工事後にはカビやコケによる汚れた印象がなくなり、モダンな見た目へと一新されています。
瓦屋根修理を依頼する業者を選ぶ際には、以下のポイントを確認するのがおすすめです。
・資格を持っているか
・施工実績が豊富か
それぞれ詳しく紹介します。
瓦屋根の修理を依頼するなら、建築士や雨漏り診断士などの資格を持っている業者に依頼するのがおすすめです。
資格を持っている業者なら屋根の劣化や建物全体の状態を踏まえて、適切な修理方法を判断してもらえる可能性が高くなります。
破損箇所だけでなく建物全体の状態に最適な方法を提案してもらえると、建物の寿命延長も期待できます。
修理を依頼する際には事前に資格を持っている業者かご確認ください。
業者を選ぶ際には、これまでの施工実績の数やどのような工事をしてきたかを確認しましょう。
実績が豊富であれば、何かトラブルがあった際でも柔軟に対応できる業者である可能性が高いです。
実績をチェックする際には、自分の住宅と同じような施工事例があるか確認するのがおすすめです。
類似の施工事例があると、費用や工期の目安にすることもできます。
施工事例はお客様の許可がなければ開示できません。
施工事例が豊富な業者は、お客様と良好な関係が築ける優良業者の可能性が高いです。
実績は業者のホームページなどで開示されています。
もしホームページがないなど実績を開示していない業者であれば避けるのが無難です。
瓦屋根の修理に注意しておきたいことは以下の2つです。
・自己判断(DIY)で屋根の修理を行わない
・現地写真は必ず残しておく
それぞれ見ていきましょう。
瓦屋根の修理は高所での作業になります。
足場を設置し安全性を保ったうえで作業しなければなりません。
自己判断で屋根修理を行う場合、はしごや屋根の上に乗っての作業が必要です。
不安定な状況で作業することになり、事故のリスクが高まるので自己判断での屋根の修理はやめておきましょう。
屋根修理は知識が必要な工事の1つです。
屋根修理に関する知識がない素人が行うと仕上がりが悪くなります。
仕上がりの美観や費用を考えて、自己判断で屋根修理を行うのではなく、最初から業者に依頼しましょう。
瓦屋根の修理では現地写真を必ず残しておきましょう。
屋根は自分で確認できないため、どうしても業者の報告を信頼するしかありません。
写真は屋根の仕上がりを確認する方法の1つでもあるので、工事前に業者に撮影してもらうよう伝えましょう。
突然業者が家を訪問してきて、瓦屋根の劣化を指摘してくる場合があります。
突然、訪問販売業者が破損や劣化を指摘するのは、悪質業者のよくある手口です。
訪問営業は大手でも行われるため「訪問=悪徳」とは言い切れませんが、突然訪問してきた業者は警戒しておくのが無難です。
訪問販売業者を信用して点検を依頼すると、「修理が必要」と虚偽の報告をしたり屋根を破損させたりする可能性があります。
もし訪問販売業者が屋根の破損や劣化を指摘してきても、その場で点検を依頼しないようにしましょう。
どうしても不安な場合は、信頼できる業者に点検を依頼するのがおすすめです。